災害復旧体制の構築に向けた10のヒント文書、人、電源、主要設備を守る

万が一の災害が起きたら、あなたの会社はどうなるだろうか? 予防策から災害時の対応まで、10のヒントをお教えしよう。

» 2006年12月11日 08時00分 公開
[Kris Hagerman,ITmedia]

1.十分な予防措置を講じる。例えば、損傷しやすい文書をしっかりした箱に入れ、洪水による浸水被害を予防することだ。紙をファイルしておくと、スペースも必要になるし火災の危険もあるので、電子的なコピーでバックアップされた紙の書類は廃棄する。

 機器や家具の転倒を防止するため、重たいものは下の方の棚に移動し、ラックに転倒防止を施す。キャビネットや照明器具、背の高い家具、コンピュータなど机上にある機器は固定しよう。

2.使用するビジネスアプリケーションの検討を行う。どのアプリケーションがビジネスに必須であり、どのアプリケーションが一定期間使用できなくても何とかなるのか、長期的な損害も発生しないか、これを判別しよう。クリティカルなアプリケーションを明確にすれば、自社にとって災害となるのが何であるのか、を明確にできる。

 災害を明確にすることにより、それが自社にどれほどの影響を与えるのかを明確に認識できる。影響には、売上損失、信用失墜、悪評、あるいは倒産などが考えられる。

3.世界的な組織を持つベンダーを災害復旧とバックアップのベンダーとして選択する。地理的に近いサプライヤーに依存すると、広範な地域に災害が発生した場合、復旧に影響が出る恐れがある。

 緊急用の資材を在庫しておくとともに、それがどこに保管されており、どのように使うものなのかを従業員全員に周知徹底しておきたい。救急法など、医療的あるいは緊急対応のトレーニングを受けた従業員を明確にしておく。購入する緊急用資材は、多すぎても少なすぎてもだめである。従業員の20〜30%が72時間必要とするくらいの量が適当である。

4.知識とスキル、パフォーマンスに関する従業員の強みと弱みを評価して、災害復旧チームの体制を整え、ベストメンバーで構成されたチームに十分なトレーニングを施して準備を整える。同時に、あらゆるレベルの従業員について引き継ぎ計画を策定しておく。

 また、実際には品質管理プロセスの一環としてすでに行われているべきことだが、従業員全員に、自分の仕事内容と手続きをマニュアルにまとめさせよう。手順は定期的にテストを行い、この文書を参考にするだけで、代替要員がきちんと作業を行えるかどうか、を確認しておく。

5.クリティカルな事業プロセスに関与する複数部門をまたいでトレーニングを行う。また、社内の他の部署や場所から応援要員を派遣してもらうメカニズムを用意する。クリティカルなプロセスやワークフローには優先順位を付け、個人間・部門間の依存関係を明確にしておく。従業員が適切に応答できるかはトレーニングにかかってくる。参考資料の閲覧や質問、理解に十分な時間を使うことができれば、従業員は割り当てられた仕事を適切にこなせることが多い。

6.社内に緊急連絡網を用意する。毎月のニュースレターで緊急時の対策を取り扱い、従業員全員に周知徹底する。人員、設備、リソースについて、常に最新状況を正確に把握しておこう。

 この情報は、緊急時に、即座に利用できる必要がある。コミュニケーションの存続戦略の一部として、災害発生時には、着信やローカル電話、国際電話をほかの電話番号や空き幹線回線、携帯電話などに転送するように事前に計画しておく。

 職場の送迎に専用の輸送手段を会社が用意するか、あるいは社外から調達しなければならない可能性もある。

7.会社なら火災時の非難手順が定められているはずだ。非難手順が現状に適していることを確認するとともに、基本的な避難経路と予備の避難経路、集合場所を従業員に周知する。会社の名前や電話番号、機器、役割、位置などが変更された場合には、非難計画もアップデートすること。事務所が2階建て以上のビルに入っている場合には、担架や懐中電灯、ゴーグルなどの緊急避難用具とレスキューキットが必要である。

8.人員や事業の存続可能性を高めるため、複数の重役が同じ飛行機に乗ることを禁じる。予備のサイトは、使用している電力網も通信センターもメインのサイトとは異なる場所に設定する。危険物を取り扱う可能性のある近隣設備を確認する。事件によって自社の設備が影響を受けそうかどうかを検討する。

9.リカバリ中は、過剰なストレスや過労の兆候がないか気を付ける。どんなに優れた人物でも、限度を超えると、明快に思考できなくなり、深刻なミスを犯すようになる。トラウマとなるほどストレスに見舞われた「高リスク」の従業員を特定し、そのような従業員は安全な環境に移し、カウンセラーか友人に付き添わせ、最終的に専門家の手に委ねるべきかどうかを検討する。

10.災害時、何が自分に期待されているのか、CEOから電話応対のアルバイトまで、全員がはっきりと認識するようにする。これが分かっているだけで、人間はパニックに陥りにくくなる。

 従業員全員について身上調査を行うとともに、重要情報にアクセスできる人間については定期的なチェックを行う。従業員全員に、トラウマとなるほどのストレスを受けた場合、どのような影響があるかを教え、危機的状況にさらされた人(自分あるいは他人)をどのようにすれば助けられるかを教育する。

クリス ハガーマン(Kris Hagerman)

シマンテック コーポレーション データセンー マネジメント グループ担当グループ プレジデント



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