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» 2006年11月29日 08時10分 公開

カルビー、沖縄バックアップサイトを稼働 短納期、通常の3分の1のコストで実現

カルビーは、沖縄・浦添市に災害対策を考慮したバックアップセンターを構築した。沖縄を活用することで、新規構築に比べ3分の1のコストに抑えることに成功。普及型災害対策として、製造業などにも広く普及するモデルになりそうだ。

[堀哲也,ITmedia]

 カルビーは、沖縄・浦添市に災害対策を考慮したバックアップセンターを構築、稼働を開始した。データセンターのある神奈川・川崎から1600キロ離れた沖縄にバックアップセンターを構え、首都圏が被災してもシステムの継続性を確保できるようにする。金融・流通を中心に広がっている災害対策が製造業へとすそ野を広げつつある。

 「これで枕を高くして寝られる」――カルビーのCEOとCIOを兼ねる中田康雄社長は11月28日、沖縄県の新垣出納長を表敬訪問し、こう表現した。同社は1999年にSAPを導入以来、全国拠点に分散していた情報処理を川崎のデータセンターに集約した。しかし、首都圏が被災すれば、全国にある地域カンパニー7社すべての業務が停止するため、これまでバックアップセンターの設置を検討してきた。

中田康雄社長 沖縄県庁の新垣出納長を表敬した中田康雄社長

 沖縄のバックアップセンターでは、今回第1次として、生産から出荷業務までを担うSAP R/3環境と、受発注システムとなるEDI、コミュニケーション用の電子メールの3システムの運用を開始。今後、事業への影響度が高いものから順次立ち上げていく計画だ。

 川崎と沖縄の対で日本ヒューレット・パッカードのハイエンドストレージ「HP StorageWorks XP10000」を導入し、ストレージ筐体間ミラーリングでデータを同期。RPO(Required Point Objective:目標復旧地点)30分、RTO(Rocovery Time Objective:目標復旧時間)4時間というディザスタリカバリを可能にした。

 切り替え運用は、データセンターを提供する沖縄電力の子会社FRT(ファーストライディングテクノロジー)に完全アウトソースする。切り替え判断をカルビーが行うと、FRTが手順に従ってバックアップサイトに切り替えて運用を行う。年に一回定期テストを実施することで、技術者のスキルの陳腐化を防止し、万が一の災害に備える計画だ。

カルビーがバックアップセンターを設けたFRTのデータセンター(沖縄・浦添市)

 バックアップセンターの設置場所として沖縄を選択した主な理由は、「地震係数の低さ」と「コストの低さ」にある。沖縄県は地震係数が0.7と全国で最も小さい。東京から1600キロと放れているため東京都の同時被災はしにくいと地理的な優位性をかった。

 同時に、県が情報産業誘致を積極的に推進しており、コスト的にも有利だったという。「沖縄県情報産業ハイウェイの無償提供を受けて、東京と沖縄を結ぶ通信コストを大きく引き下げた」とIT企画グループのIT梶ヶ野恭行リーダーは話す。システム運用コストも「東京に比べれば沖縄は7割〜8割程度」(FRT)といい、「データセンターが2つになっても、2倍のコストということがない」(中田社長)というのも決め手になった。

HP StorageWorks XP10000 今回導入された「HP StorageWorks XP10000」。1600キロをレプリケーションする

普及型DRとしての期待

 インフラ構築を担当した日本HPは、カルビーのケースが災害対策の普及型モデルとなると期待をかける。プロジェクトを担当したITコンサルティング本部コアソリューション部の鬼山浩樹グループ長は、「膨大なコストが掛かるというイメージから災害対策にためらってきた企業にも手の届く範囲にきた」と話す。

 金融機関や通信大手といった高い要件が求められる高価格なソリューションの導入ばかりでなく、低コストでもRTO、4時間を実現できることが実証されたからだ。カルビーでは、既存システムを再利用しながら6カ月という短納期のプロジェクトとし、沖縄の低価格な運用コストを活用することで、新規構築に比べ3分の1のコストでバックアップサイトを構築できた。この方法を使えば、これまで災害対策を見送ってきた業界にも手が届く。

 日本HPでは、今回の構築経験を生かし、沖縄を利用した事業継続・災害対策ソリューションの採用を積極的に働き掛けていく予定だという。

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