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» 2006年12月19日 08時00分 UPDATE

次世代ITを支える日本の「研究室」:“神業”の実現目指す量子コンピュータ研究の今 (1/3)

RSA暗号を無効化するほどの高速処理ができる「量子コンピュータ」は、なぜそれほど高速なのか? 理化学研究所が研究を進める量子コンピュータの速度の理由と、その難しさ、実現性をレポートする。

[増田千穂(エースラッシュ),ITmedia]

本記事の関連コンテンツは、オンライン・ムック「次世代ITを支える日本の研究室」でご覧になれます。


 前回は、量子コンピュータの研究の歴史と可能性を紹介した。そこで今回は、最強といわれるRSA暗号を、わずか数時間で解読してしまう可能性を持った量子コンピュータが、どうしてそれほどの処理速度が出せるのか、その理論と研究の現状についてお伝えする。

超並列計算で全体の処理速度を高速化

 量子コンピュータは、非常に高速な処理が可能になる。しかしこれは、現在のコンピュータが行っている処理すべてを高速化できるという意味ではない。RSA暗号を無効化するという因数分解の計算は、量子コンピュータが最も得意とするものだとされている、「超並列計算」ができるからだ。

 因数分解は、ある程度総当たり的な計算を行う必要がある。桁数が増えれば候補となる因数は多くなり、総当たりをすれば、解に至るまでの時間も長くなる。これが、現在のコンピュータが因数分解を苦手としている理由だ。1つの候補にトライし、その結果が出てから次の候補にトライする。この繰り返しになるために、桁数が多くなると限りなく長い時間が必要になってしまう。

 しかし、量子コンピュータは、非常に多くの並列処理が可能になるため、多数の候補の計算を同時に行うことができる。そのため、従来のコンピュータとは比較にならない速度で結果が得られるのだ。ひるがえって、並列計算によって高速化が期待できないタイプの処理には、それほど大きな向上がない可能性もある。

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