100%の復旧を保証することは不可能だが、適切な計画を策定し、ステップを踏んでいけば、インフラ障害から迅速な回復を可能にすることができる。
災害復旧(ディザスタリカバリ)の問題が、IT管理者にのしかかっている。ビジネスにおける予想外のダウンタイムを引き起こす出来事が続いているためだ。自然災害や紛争など、セキュリティに対する侵害や攻撃が続いていることから、企業はその種類や規模にかかわらず、堅牢なITの災害復旧計画を備えた事業継続のための包括的な計画(Business Continuity Plan:BCP)の策定や改善を迫られている。
では、災害復旧計画に必要なものとは何だろうか? バックアップのポリシーか、リカバリのスクリプトか、あるいはセキュリティ上の侵害をエスカレーションするための手続きだろうか。
効果的な災害復旧計画とは、技術的な保護やリカバリを行うだけでなく、より広範な事業継続計画の一部として、人とプロセス、手続きなどが含まれる。そして、これらを確実に処理するものである。災害が発生しても、企業の存在に不可欠な過去のトランザクション記録を保護しつつ、エンドユーザーが企業リスクを管理し、潜在的な危機に対処し、新しいビジネス上のトランザクションを完了する能力を提供するものなのだ。
これらを行うのは、ほとんどの企業にとって困難なことである。データを保護し、安全に守るという、第一段階だけでも実行しようというIT管理者は多いが、理想とされる時間内に重要なビジネス上のプロセスを完全に復旧できるほど、準備を行っているものは少ない。Applied Researchが行った調査では、500人のIT管理者のうち、70%がデータのバックアップや複製、リカバリの準備をしていると回答した。しかし、十分な災害復旧計画を策定しているIT管理者は54%強にすぎなかった。
アプリケーションやエンドユーザーの復旧を行わずにデータだけ復旧するというのは、楽譜だけ用意して、交響曲を演奏するのに必要な楽器や演奏家、コンサートホール、指揮者をそろえないようなものである。それでは仕事を最後まで行うことなどできないのだ。
Infonetics Researchによると、大企業は予想外のネットワークのダウンタイムにより、年間売上を最大で16%を失っているという。では、災害や事件、危機への対応計画を策定するにあたり、IT部門が検討すべきことは何なのだろうか。
Applied Researchの調査における回答者の約3分の1は、災害復旧計画の必要性を感じていないとしている。まずは経営陣のレベルに限らず、IT管理者のレベルにおいても、ニーズを認識し、それについてコミュニケーションを行うことが重要である。マネジャーが効果的な災害復旧計画の必要性について理解と意思疎通を深めるには、以下の質問が役に立つかもしれない。
IT管理者は、想定事例を準備し、経営陣と連携の上、災害復旧計画の策定と実施に必要なリソースを手に入れるべきである。また、現行の管理をテスト・変更する場合でも、経営陣と連携の上、継続していくべきである。
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