MSのオンライン検索サービスがモバイル対応に

携帯電話からMicrosoftのオンライン検索サービスを利用できるWindows Live Search for mobileのβ版が公開されている。多面的なアプローチで検索サービスのモバイル化を進め、広告オーディエンスの獲得を図っている。

» 2006年12月29日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 携帯電話からMicrosoftのオンライン検索サービスを利用できるようになった。現在β版が提供されているWindows Live Search for mobileを利用すると、Microsoftのオンライン検索サービスの携帯電話対応バージョンを操作したり、店舗情報など特定の種類の情報を問い合わせるテキストメッセージを送信できる(日本語版では未対応)。また、米大手キャリアのSprintでは、このサービスを同社が提供するデータ対応携帯電話のユーザーインタフェースに組み込んでいる。このような提携が、携帯電話とオンライン検索プロバイダ間で結ばれたのは初めてのことである。このモバイル対応検索サービスは、Microsoftの検索連動型広告収入の増加につながる可能性がある。

オーディエンス確保に多面的なアプローチ

 できるだけ多くの携帯電話ユーザーを取り込むため、Microsoftは多面的なアプローチを行っている。まず、SMS(Short Message Service)メッセージの送信やWebブラウズに対応している(現在はほとんどの携帯電話が対応)すべての携帯電話から利用できるサービスの開発に取り組んでいる。また、これと並行して、モバイルキャリアと提携し、携帯電話に搭載される提携先キャリアが開発したソフトウェア(デッキと呼ばれることがある)にMicrosoftのソフトウェアまたはサービスを統合する契約を結んでいる。

 Windows Live Search(WLS) for mobileでもこの戦略を採用し、以下のような複数のバージョンが用意されている。

ブラウザベース キャリアの種類を問わず、Windows Mobile 5またはJ2ME(Java 2 Mobile Edition)プラットフォームベースの携帯電話であれば、モバイル版Live Searchサイト(mobile.live.com/search)にアクセスし、Web検索、ニュース記事検索、地元の店舗情報、Windows Liveスペースのブログの検索を実行できる。また、Microsoftのオンライン地図サイト「Live Local」の地図サービスや道順案内サービスを利用することも可能だ。このバージョンでは、一部のクエリに対して、MicrosoftのadCenterプラットフォームが配信するスポンサーリンク広告が表示される予定だ。

SMS WLS for mobileもう1つのキャリア不問のバージョンは、指定された形式でSMSテキストクエリを送信して、テキスト形式の結果を受け取るものだ。例えば、電話番号をクエリとして入力すると電話帳に掲載されているその番号の情報が、“pharmacy 98105”をクエリに使うとこの郵便番号(98105)の区域にあるすべての薬局(pharmacy)の住所が、“d erudite”というクエリではMicrosoftのEncarta百科事典から“erudite”という語の定義が結果として返される(“d”はユーザーが定義を問い合わせていることを示す)このバージョンのWLS for mobileでは、広告は表示されない。

Sprintブランド 2006年11月に締結された戦略的提携の一環として、SprintのSprint PCS VisionまたはPower Visionおよび一部の旧式の携帯電話では、検索ウィンドウが統合されたSprintのデッキが提供される予定だ。Sprintブランドに統合されているが、検索サービス自体はWLS for mobileが提供しており、ブラウザベースバージョンと同じ検索オプション(地元の店舗検索や道順検索など)を利用でき、結果表示も(広告も含めて)同じになる。最大の違いは、Sprintブランド版では、検索結果にSprintのサービス(着信音など)が含まれる点だ。リリース時点では、ローカル検索を行う場合、郵便番号や住所をユーザーが入力する必要があるが、2007年前半には、ユーザーが承認した場合のみ、サービスにより自動的にユーザーの場所を携帯電話の信号から検出されるようになり、ローカル検索の操作性が格段に向上する見込みだ。今回の提携で、SprintはWeb検索機能を簡単に追加して、提供サービスの価値を高めることができ、一方Microsoftは検索連動型広告のオーディエンスとして既に確立されているユーザーベースを獲得できる。両社はそのほかの共同ブランドサービスの展開も計画しており、これらのサービスはNextel(Sprintが2005年秋に350億ドルで買収)のユーザーにも提供される見込みだ。SprintおよびNextelの加入者は合計で5100万人に上る。

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