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» 2007年02月01日 00時00分 UPDATE

「エンタープライズPLC」のススメ:高速PLCの「簡単、速い、すぐ使える」は本当か (2/2)

[井上猛雄,ITmedia]
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漏えい電磁波と伝送ロスがネックに

 さて、このように利便性に非常に優れる高速PLCだが、死角はないのだろうか。

 PLCにも弱点がないわけではない。もともと電力線は、データ伝送に使うことを想定してはいない。そのため、PLC機器から信号を流す際に、電力線から電磁波が漏れ、ノイズとなってほかの無線通信や家電機器に影響を与える(逆に影響を受ける)可能性がある点が1つ。電磁波漏れについては、メーカー各社でさまざまな対策が盛り込まれ一応の決着がついているものの、まだ現在でも議論が続いているところだ。実際に市販されている製品マニュアルにも、使用上の注意として、医療機器や短波ラジオなどの家電製品に「影響を与えることがある」と明記されている。

 もう1点、これはPLCに限ったことではないが、環境条件や設置条件によっては実効速度がかなり落ちることだ。伝送速度を左右する要因としては、電力線の線路での信号損失や、線路に乗ってくるノイズの影響、線路の負荷による影響などが挙げられる。

 宅内では、電力線の線路がどのようになっているのか分からない場合もある。特に電線路に分岐がある場合は、信号電力のレベルが分散するので、速度が低下する可能性がある。また、影響は小さいが、電力メーターやブレーカーによる損失や、電力線の系統/線相の違いなどによる損失もある。家電製品を接続することで、線路の負荷(線路インピーダンス)が変わる場合は、信号電力が低下する。

 線路内ノイズの影響については、家電製品から発生する負荷ノイズや、空中を伝播する飛来ノイズなどが電力線に乗ってモデムに混入することがある。そのため、PLC機器を使用する際は、壁の電源コンセントに接続することが基本となる。ケーブルタップで利用する場合にも、「できるだけ長さの短いものを使用する」「携帯電話の充電器やドライヤーなどの機器は同じタップに接続しない」などの配慮をした方がよい。

 とはいえ、LAN構築の手軽さという魅力は高速PLCならではのもの。国内では法律の関係で利用が屋内のみに限られているが、今後、家電製品などにも徐々に組み込まれていくようになると考えられる。オフィスやビルなどのエンタープライズ用途においても、従来のLAN以外の選択肢の1つとして、システム構築に積極的に動いているインテグレーターもある。その意味では、高速PLCが今後、広がりを見せる可能性は十分にあるだろう。

 次回は、高速PLCの仕組みについて紹介する。

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