「端末に主導権を握らせない」、メルーが明かす無線LAN構築のポイント(1/2 ページ)

無線LANベンダーのメルー・ネットワークスは、独自の路線でエンタープライズ市場を開拓してきた企業。同社の幹部は、インフラ側で通信をコントロールすることが無線のパフォーマンスや信頼性を高める上で重要だという。

» 2007年02月22日 08時00分 公開
[堀見誠司,ITmedia]

 「無線LANの標準技術で足りないところを補完するのが役目」というワイヤレスベンダー、メルー・ネットワークス。その独自のノウハウで、国内でも企業向け無線VoIPシステムの導入事例を増やしつつある。日本のパートナー企業向けカンファレンス開催に合わせて来日した米Meru Networksマーケティング担当副社長のマイケル・テネフォス氏に話を聞いた。

画像 テネフォス氏は「無線LANインフラ上のトラフィックコントロールは交通量規制と同じ」と語る

ITmedia 昨年発表した「Wireless back born systems(WBS)」について教えてください。

テネフォス WBSの目的は、既存のLANスイッチがある場所を含めたすべてをワイヤレスで接続できる環境を作ることです。よく比較されるワイヤレスメッシュネットワークとは、無線ネットワークのエンド・ツー・エンドでQoS(サービス品質)制御をかけられること、そして堅固なセキュリティになっていることが大きな違いだと考えています。われわれが蓄積したノウハウにより、無線上でQoSをかけてもパフォーマンスや信頼性を犠牲にすることはありません。

 システムのバックボーンは、無線4チャンネルを同時利用できる「Radio Switch」で形成します。IEEE 802.11a×2チャンネルでコアネットワークの通信を行い、11b/g×2チャンネルでセキュリティのチェックを行うといった使い方をします。このRadio Switchが、無線の帯域を最適に利用できるようリソースを調整しているのです。無線LANだからといって、有線と比べてパフォーマンスやセキュリティの点で妥協していいわけではありません。

ITmedia ユーザーが一番気にしているパフォーマンスの点でどのような工夫をしていますか。

テネフォス 簡単に言うと、スイッチとアクセスポイントが上りと下りの通信の監視を行いながら、フローを制御しています。Air Traffic Controlという技術で、特定のアプリケーションが、どのくらいの時間通信をするのかを計算します。例えばIP電話なら、上りと下り双方向で定期的に安定した通信を行うよう、クライアント側ではなくインフラ側でコントロールしているのです。このように、クライアントに通信の「主導権」を握らせないことが、無線のリソースを最大限に活用できる最大のポイントでしょう。携帯電話のネットワークにおける端末管理を無線LANに適用した仕組みで、通常のアクセスポイントとの組み合わせではこうしたことはできません。

 IEEE 802.11やWi-Fiといった標準に準拠すれば、それだけでもクライアントに素晴らしい機能を提供できますが、標準では足りない機能を補っていくことで、標準に対応したクライアントをよりよく使えるようになると考えます。標準技術を補完する方法なので互換性の問題もありません。

ITmedia WBSの最初の導入ターゲットは学校などの教育機関でしょうか。

テネフォス 高密度の端末収容を必要とする企業はあります。証券取引所などがその例でしょう。たまたま今回、米国フィラデルフィアの学校で大規模な導入案件がありましたが、これからビジネスにも浸透していくと思います。

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