情報共有の活性化を阻む8つの落とし穴よく効くエンタープライズサーチの処方箋(1/3 ページ)

文書管理システムやKMの利用が形骸化する中、簡単に文書公開できるツールと高速な検索エンジンが連携する、エンタープライズサーチ(企業内情報検索)に初めてトライする企業向きのソリューションが登場している。まずは使ってもらい、次第に情報共有の文化を育てていくのも有効な方法だ。

» 2007年03月01日 07時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

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 インターネットの利用において、検索の重要性が増すばかりなのは言うまでもないことだが、同様に企業内でも、整理されないまま蓄積、散在する文書や情報の山からいかに簡単に目的のものを探し出せるかが問われ始めている。これが文書管理システムやナレッジマネジメント(KM)、エンタープライズサーチなどを導入する動機になっている。

 しかし、インターネット検索に求められる要件と企業環境での検索に求められる要件とでは、同じ情報検索でも大きく異なってくる。例えば、大がかりに導入した文書管理システムの複雑さと使いにくさから、利用が次第に形骸化してしまうことが多い。旧世代のKMが衰退していったのも、この理由によるところが大きい。

 ある調査結果では、KM/EIP(企業情報ポータル)導入後の課題として、「社員が活用しきれない」「使い勝手が悪い」「必要なものが見つからない」などが上位に挙げられ、それらツール選びでは、「ユーザーが簡単に使えること」「導入や管理が容易」「シンプルさ」などが重視すべき点とされている。

 KMやエンタープライズサーチの目的は、企業内に存在するさまざまな形式、種類の情報を検索できるようにし、活用し、共有できるようにすること。そのためには、システムのハードルをできるだけ低くして、現実的な導入の方法を選択することが重要となる。まずは、すぐに始められる文書検索で、懸案の情報共有を試みるのも1つの方法かもしれない。

 そんな中、海外製ソフトウェアを日本で販売・技術サポートするオーシャンブリッジと、エンタープライズサーチエンジンを提供するオートノミー、およびマーケティングリサーチやコンサルティングを手掛けるディージー・アンド・アイベックスは2007年1月24日、エンタープライズサーチソリューションに関する技術・販売面での提携を発表した。その第一弾として、オーシャンブリッジの文書公開システム「Net-It Central」と、オートノミーの全文検索エンジン「Ultraseek」を組み合わせた、企業内情報活用ソリューションを提供するという。

ファイル共有/文書管理でうまく情報共有できない理由

 その発表後の2月9日に、当事者3社によるエンタープライズサーチによる情報活用セミナーが開催された。その席上で、オーシャンブリッジの営業部でマネジャーを務める宮崎千佳子氏が、エンタープライズ環境における情報共有の課題についてレクチャーを行った。その内容の一部を紹介したい。

画像 オーシャンブリッジの宮崎千佳子氏

 情報のとらえ方についてはさまざまな定義があるが、大きく2つに分類すると、数値を扱う「定量データ」と、テキストなどを扱う「定性データ」とに分けられる。定量データとは、ERP(統合業務パッケージ)や会計などの基幹系システムで使われるもの。また、定性データには、短期的な情報(フロー情報)および長期的な情報(ストック情報)が存在し、短期的なフロー情報としてはメール、グループウェアなどのコミュニケーションツールなどが該当する。これらは日常業務を進める上で使わざるを得ないものであり、おのずと情報共有はなされているだろう。

 問題は一方のストック情報にある。ファイルサーバや文書管理システム、KMなどの文書を扱うシステムは、特に使わないと業務が停止するほどのものではなく、有効に情報が共有されているとはいえない。宮崎氏は、「文書共有については決定的な仕組みがないのが現状」と語る。

 これまでも、ファイルサーバやLotus Notes、イントラネット、文書管理システム、EIPなどの仕組みで、企業は文書共有に取り組みながらも、成果が出ている事例は少ない。ではなぜ、ファイルサーバや文書管理システムでは情報の共有がうまくいかないのか。

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