情報共有の活性化を阻む8つの落とし穴よく効くエンタープライズサーチの処方箋(3/3 ページ)

» 2007年03月01日 07時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]
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簡単な導入と高速な検索処理能力を両立

 既に国内500社600サーバ以上で導入しているというNet-It Centralは、ファイルサーバにドラッグ&ドロップすることで、社内Webに公開できる登録機能や、アプリケーションを立ち上げずに文書内容を高速に閲覧できる機能、および全文検索機能によりヒットしたページを直接表示する機能などを主な特徴とする。また、文書内容を表示しても印刷やコピーを禁止する漏えい防止機能、更新情報をRSSで配信する機能なども備える。主に、営業部門や販売部門への情報公開・共有に合わせた作りになっている。

 一方の検索エンジンUltraseek(日本語版)は、かつての検索ポータル「Infoseek」で使われていた検索エンジンを元に開発されたもの。日本語形態素解析(*1)による自然文検索手法をとっており、インターネット/イントラネット向けにパッケージ化したエンタープライズ向けの検索エンジンとなっている。

 Ultraseekは、基本的なWeb文書のインデクシングと検索の機能に加え、ファイルサーバ内の文書のインデクシング、HTML以外のXML文書や各種アプリケーションファイル内のインデクシングを備える。これにより、Webブラウザからファイルサーバ、DBなどのイントラ内情報リソースを対象とした検索のほか、Web検索同様の検索クエリの利用、検索ページのデザインのカスタマイズなども可能となっている。言語学的手法、ステミング(*2)、リンク解析、言葉の位置・頻度・希少性に基づいた重み付けの最適値により結果を確定するという。

 また、インデックス全体の再構築というやり方ではなく、スパイダーが差分だけ更新するため、インデックスの作成時間も大幅に短縮した。Ultraseekの販売元であるディージー・アンド・アイベックスによると、Ultraseekが最も評価されているのは、簡単なインストール方法と、最大検索処理件数15件/秒といった満足できるレベルのパフォーマンスだという。

 文書のWeb公開が簡単にできるツールと、多様な文書を高速に検索できるエンジンの連携は、ユーザートレーニングも必要ないことからTCOも低く、エンタープライズサーチを初めて導入する企業向きのソリューションといえる。このようなツールで、小さく始めて社内の情報共有の文化を大きく育てていくのも、エンタープライズサーチ活用を成功に導く1つの方法だろう。


*1 形態素解析:自然言語で書かれた文を形態素(言語で意味を持つ最小単位)に分割し品詞を見分ける作業。情報源として文法ルールと辞書(情報付きの単語リスト)を用いるものが多い。


*2 ステミング:検索語の語幹を解釈することで、単語やフレーズの複数形や変化形などの類義語を検索できるようにするための技術。検索用語やキーワードに完全に一致する検索結果だけでなく、その変化形の検索結果も返すことができる。
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