企業が直面しているリスクについては、さまざまなメディアにおいてすでに語られている。重要なのは、自分の会社において、どのような場面でどのようなリスクがあるのかを理解し、それを回避するためには、どのような管理体制が必要かをしっかりと見極めることである。
企業に蓄積される情報は増加の一途をたどっている。総務省が発表する資料によれば、ブロードバンドネットワークが普及し始めた2001年以降、流通する情報量は爆発的な伸びを示しており、インフォメーションワーカーに対する負担も急激に増大している。
また、ある調査によれば、今後2年間で生み出されるコンテンツは、これまでに作成された総量を上回るとの予想がなされている。そして、その93%以上が、電子コンテンツになると考えられている。
最近、デジタルコンテンツがらみの法令などが続々と出てきているが、現実の情報量の増大を考えれば、手遅れのような感さえある。企業情報に対する管理、すなわち、企業の大切な資産を守り、活用するシステムの構築は、まさしく急務なのだ。
ここで考えておきたいのは、紙ベースの情報の管理は非常に難しいが、電子コンテンツであれば管理がしやすいという側面だ。デジタル情報が本来的に持つ利点である。問題は、いかに管理をするか、その手法である。
ECMの考え方そのものは、特に目新しいものではない。従来、ECMと呼ばれていたものは、一部の管理部門の人が、いわゆる文書ではなく、機密レコードと呼ばれるレイヤーにある限定された文書を管理していくためのシステムであった。あるいは、法令などに対応するための文書を管理するためだけのシステムであった。
こうしたシステムは、単なるドキュメント管理のシステムであって、今日の業務環境に合うものではなくなってきている。これから必要とされるECMは、単なる機密ドキュメントの管理ではなく、企業内にあるすべての情報を縦断的・横断的に管理するシステムである。それでは、このようなシステムを導入・運用する際には、なにが重要になるのだろうか。
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