エンタープライズサーチが必須となる理由【前編】よく効くエンタープライズサーチの処方箋(1/2 ページ)

エンタープライズサーチが、業務の効率化や生産性向上のためのツールとして注目されている。専業ベンダーだけではなく、業務ソフトやシステムベンダーがこぞって参戦し、市場は加熱する一方。このソリューションがなぜ注目され、また企業になくてはならなくなるのか。2回にわたり探っていく。

» 2007年03月09日 08時00分 公開
[松岡功,ITmedia]

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 IT化の進展に伴い、企業内には多くの業務システムが稼働し、PCをはじめとした多数のコンピュータが導入されている。そして、そこには日々大量のデータが生成・蓄積されている。

 多くの企業においては、経理処理や受発注処理などを行う基幹系システム、および各種報告書や日報管理などを行う情報系システムをはじめとしたさまざまなシステムが構築され、その中で、顧客への提案書や契約書、業務マニュアル、通達書類、報告書など多くのデータが蓄積される状況である。

企業内の大量データの検索に対応

 企業内に蓄積されている情報は、大きく2つに分類される。1つは業務システムのデータベース内にある構造化データ。もう1つはテキストや電子メール、インスタントメッセージ、ワープロ/表計算/プレゼンテーションソフトなどで作られたアプリケーションファイル、画像、音声、動画、CADデータなど、業務システムのデータベースには収められてこなかった非構造化データである。昨今ではこの非構造化データが急増しており、今や企業内のデータの80%以上を占めているともいわれている。

 従来、企業内に蓄積されているデータを検索しようとした場合は、膨大な量のデータがそれぞれの業務システムに分散した形で格納されているため、1つひとつのシステムを調べなければならなかった。データ量が少なければそんなに時間もかからないが、システムが分散され、データも膨大な量になるばかりの現状では、かつて見たことがある資料を探そうとしても至難の業だ。

図 エンタープライズサーチの位置付け

 結果、作業の時間を無駄に費やしてしまったり、すでに作られているデータと重複した文書を作成してしまったり、部門間や事業所間でデータ資産が共有されていないために有効活用できない、といった問題が生じてしまう。そうした問題に対処するため、エンタープライズサーチを用いて必要な情報を素早く探し出す仕組みが求められるようになったのである。

エンタープライズサーチに求められる4つの機能

 エンタープライズサーチはインターネット用の検索エンジンと同様、ITのプラットフォームやアプリケーションの違いを意識することなく、求める情報を探し出せるようにするソリューションである。一般にエンタープライズサーチの検索エンジンは、あらかじめ企業内のサーバやストレージをクローリング(巡回)して、どこにどのようなファイルがあるかを記録したインデックス(索引)を作成し、そのインデックスに対して検索を行う。これによって、ユーザーは即座に検索結果を得ることができるわけだ。

 こうしたエンタープライズサーチを用いて企業内に蓄積されているデータを一元化して検索し、有効活用することができるようになれば、業務の効率化や生産性向上、さらには企業の情報管理においても大きな効果を生み出すとみられている。ただ、そのためには「企業内の情報を検索する」という機能だけでは不十分で、検索結果の精度や表示速度などの機能をさらに向上させていくことが求められる。また、管理面でも情報漏えいなどを防ぐためのアクセス権の管理などの機能が不可欠となる。

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