企業内検索に不満を抱くユーザーの「盲点」よく効くエンタープライズサーチの処方箋(2/3 ページ)

» 2007年03月26日 08時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

検索エンジンの使い勝手に7割が不満

 しかし、そのエンタープライズサーチ市場の伸びが今ひとつ鈍い。IDGジャパンによる企業内の検索エンジンの利用状況調査を見ると、イントラネット、ファイルサーバ、データベース内単体ではある程度検索できているが、横ぐしの横断検索はほとんどできていないことが分かる(図2)。また、検索エンジンに対する満足度調査でも、「検索できる範囲が不足」「検索精度・使い勝手が不満」といった答えが7割近くに上っている。

図2 図2●「企業内検索エンジンの利用状況」と「検索エンジンの満足度」(出典:IDGジャパン「IDG EXPO リサーチ:サーチエンジン」/2006年6月調査 n=277)<クリックで拡大>

 それについて上村氏は、エンタープライズサーチに対する企業の認識の“盲点”を指摘する。

 まず、エンタープライズサーチ導入に際して、企業内に蓄積した不要なデータをなくすことに着手していない点だ。大量の“ゴミデータ”に埋もれた状態で、コンテンツを取り出すことに四苦八苦するよりも、ゴミデータを減らした方が、よほど分かりやすい検索結果となるはずだという。

 そして、エンタープライズサーチ製品はそれぞれにニーズが異なり、使われ方も変わるという点があるとしている。サーチエンジンそのものはさほど高度ではなくも、それなりの結果が出れば満足する企業がある一方で、検索エンジンの高度なアーキテクチャーに依存し、価値のある結果を生み出したい企業もある。それに応じて、エンタープライズサーチベンダーも二極化している状況だ。

 さらに、エンタープライズサーチができることと、企業のニーズがかみ合っていないことがある。欲しい情報が即座に見つかるものであれば、ある程度費用を掛けてでも企業は導入を検討するが、中途半端に費用を掛けても、欲しい情報が検索結果の上位に引っ張れないことも多く、結局は使われずにレガシー化してしまう。

 反対に、企業の期待通りに満足度を高めるためには、ハイエンドクラスの製品となってしまい、情報検索のために数千万円規模の費用を掛けられないというのが企業の本音であり、ベンダーの悩みでもある。ROI(費用対効果)の測定が難しいことが、エンタープライズサーチの宿命的ジレンマともなっているのだ。

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