膨大なDBを抱えるNotesユーザーからの「SOS」よく効くエンタープライズサーチの処方箋(3/3 ページ)

» 2007年03月15日 08時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]
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今後のサーチ市場は製品の住み分けが明確に

 ところで、現在のエンタープライズサーチ市場について、砂金氏は「ミッドレンジを狙うIBMやオラクル、マイクロソフトあたりのレイヤがスイートスポット」と分析する。高額なハイエンドの検索エンジンを活用するのは、検索対象が、コストセンターではなくECや予約窓口など対象自体が利益を生んでいる部分に限られてしまうという。社内のファイルサーバやNotesを検索するために、数億円の費用を掛けるとは考えにくいからだ。

 大がかりな検索とは目的が異なるという意味では、BI(Business Intelligence)との連携も同様である。BIの分析はそれほどアドホックで行われず、OLAP(Online Analytical Processing:オンライン分析処理)で満足することもあり、砂金氏はそこに高度な理論を用いた万能な検索エンジンが必須とはされていないという見方を示す。「“べき論”では存在し得るが、現実問題としてはコスト、ニーズのギャップは大きい」と同氏。

 とはいえ、市場自体がまだ成熟しているとはいえず、高度で詳細な検索を求めるのか、ファイルサーバ内の検索ができれば満足なのかで、今後エンタープライズサーチ市場の中でも製品の住み分けができるだろうという。

 また、すべてを得意分野にできる資本力と政治的な力を持ったベンダーはなく、MSやオラクルなどのビッグネームは、資本力はあるものの自社の分野に閉じている。一方、エンタープライズサーチ専業のベンダーが全方位的な方向へ動くかと言えばそうはならず、資金力の関係で得意分野にリソースを絞り細分化していくだろう、というのが砂金氏の見方だ。

 「エンタープライズ環境での検索は多様性がありすぎて、1社ですべてを満足させることは難しい」(同氏)

直面する課題に近い知見を蓄積から見つけ出す

 その一方で、ユーザー側の問題もある。情報が急速に増加しストレージの規模も増える中、情報の質が見直されているという松本氏は、企業内で情報の量と質の相反が起こっていると話す。

 「ガバナンスを利かせて情報の質的向上に注力する一方、依然として溜め込む部分もある。検索を提案する場合、探し出せる利便性を伝えるだけではなく、一度は使われている情報かどうかでインデックスをつけるといった、前段階での棚卸しも併せて推奨している」(松本氏)

 ただし、例えば製薬メーカーなどでは、いかに早く新製品を開発して市場に出すかが勝負となる。整理の視点で語ることも重要だが、プロジェクトが乱立して開発が進むビジネスでは、欲しい情報をピンポイントで探さなければならない事情もある。「競争力強化のため、自分が直面する課題に近い知見を過去の蓄積の中から見つけ出して、無駄のない開発を進めるためにも、エンタープライズサーチが活用できる」(松本氏)。

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