エンタープライズサーチが必須となる理由【後編】よく効くエンタープライズサーチの処方箋(1/2 ページ)

各ベンダーの動きが活発化した2006年は、「エンタープライズサーチ元年」とされる。仕事や経営の原点に立ち返ると、なぜ有効なツールとなり得るのかが理解できるだろう。

» 2007年03月12日 08時00分 公開
[松岡功,ITmedia]

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 2006年来、がぜん注目を集めるようになったエンタープライズサーチ。これまでも検索の機能自体はさまざまな形で企業内に利用されてきたが、2005年4月に検索エンジン最大手のグーグルがWebサイトやイントラネット上のドキュメントを対象とした検索エンジンを1つのサーバに格納した「Google検索アプライアンス」の販売を開始し、さらにデータベース最大手のオラクルが2006年4月に「Oracle Secure Enterprise Search 10g」を出荷開始したことで、ユーザーの関心は一気に高まった。これをして業界関係者の間では、2006年を「エンタープライズサーチ元年」ととらえる向きが多い。

独自の戦略を打ち出す主要ベンダー

 主要ベンダー各社の製品戦略をみると、エンタープライズ向けに事業を展開するオラクルやIBMがこれまで培ってきた技術を生かして既存のシステム製品との連携/統合を図っているのに対し、検索エンジンを主体とするグーグルはハードとソフトを統合した製品を展開している。また、内田洋行グループのウチダスペクトラムは海外企業の検索エンジンのOEM供給を受けて製品を展開、検索ソフト専業のアクセラテクノロジや国産ソフト大手のジャストシステムは国産検索エンジンによる日本語への対応――など、それぞれに独自の戦略を打ち出している。

 では、主要ベンダー各社の製品の差別化とはどのようなものか。

 グーグルの「Google検索アプライアンス(Search Appliance)」は、Webサイト上またはイントラネット上にある最大1500万ドキュメントをカバーし、220種類を超えるさまざまなファイル形式の検索を行うことが可能。さらに、デスクトップ検索を行える「Google企業向けデスクトップ」を統合すると、デスクトップ内の情報も含めて1つの検索ボックスから簡単に検索できるようになるのが特徴だ。2006年4月にはエントリーモデルとして最大5万ドキュメントの規模から導入できる「Google Mini」も発売し、アップグレードも容易にできるようにした。

画像 Google Mini(グーグル)

 日本オラクルの「Oracle Secure Enterprise Search 10g」は、企業が持つ基幹システムやデータベースといった構造化データ、およびファイルサーバ、コンテンツ管理システム、ポータルなどといった非構造化データの中から、検索を行うユーザーが実際に参照可能な情報のみを検索結果として表示するセキュアな検索を提供しているのが特徴。

 また、使い勝手の良いWebインタフェースにより、関連度の高い検索結果を素早く表示することも可能にした。同社では近々、さらに検索機能やセキュリティ機能を強化した製品も投入する予定だ。

 日本IBMが2006年11月に発表した「IBM OmniFind Enterprise Edition V8.4」は、従来の「WebSphere Information Integrator OmniFind Edition」から「IBM OmniFind」という名称に変更した最初の製品である。IBM OmniFind V8.4は従来のV8.3が備えていた広範囲のコンテンツ、セキュリティ、およびIBMミドルウェア製品との強力な連携を基盤に使いやすさを向上させた。Lotus Domino環境やWebSphere Portal環境用に最適化されている。

 これらのプラットフォームとの堅固な統合により、検索性能に優れ、その一方で各プラットフォームが持つセキュリティポリシーも順守することが可能になっている。

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