リアルコムがECM市場に照準、グーグルとも提携へ

リアルコムがエンタープライズコンテントマネジメント市場に本格参入する。第1弾として「REALCOM HAKONE V1.3」をリリース、さらに2週間以内にはグーグルと提携することも明らかにした。

» 2006年09月13日 07時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 ナレッジマネジメントのパッケージソフトウェアとコンサルティングを提供するリアルコムは9月12日、Lotus Notes/Domino向けの「REALCOM HAKONE V1.3」をリリース、さらに2週間以内にはグーグルと提携し、「Google Search Appliance」を補完する製品を発表することを明らかにした。

 HAKONEは、Notesの情報共有DBに対して活動履歴追跡やKnow-Whoアドレスブック機能などを提供することで、情報の質を継続的に高めていく製品。今回出荷を開始するV1.3では、パフォーマンスの向上や文書マッピングの自由度を高めているという。リアルコムでは、バージョンアップやMicrosoft製品への移行を迫られているNotesユーザーへの現実解として売り込んでいくという。

 2000年の創業以来、C2C、B2B、およびB2Cというさまざまなコミュニティーを対象とし、ナレッジマネジメントソリューションを提供してきたリアルコムだが、企業顧客のニーズが「人」「情報」「ナレッジ」の全社的・統合的管理へと広がりを見せる中、エンタープライズコンテントマネジメントへ事業領域を拡大しようとしている。

 「ナレッジマネジメント市場からスタートしたリアルコムだが、ポータルというさらに大きな市場でユニークな存在として170社を超える企業顧客から支持を得た。今後はより大きなエンタープライズコンテントマネジメント(ECM)市場に打って出たい」と谷本肇社長は話す。

人中心のコンテントマネジメント

 企業では、メールの爆発的な普及に伴い、ナレッジのみを管理する個別システムの意義が薄れたり、ガバナンス強化の流れもあって、個別システムそのものが認められなくなりつつある。

 「質の高い情報を求めたり、コラボレーションが組織の枠を超えて高度化する中、企業はECMへの投資意欲を強めている」と話すのは、リアルコムでチーフ・マーケティング・オフィサーを務める吉田健一氏。

 「ただし、現行のECM製品には、人中心という視点が欠けている。リアルコムのソリューションであれば、必要なときに必要な情報だけを必要な人に届けることで情報の質も高められる」と吉田氏。

 リアルコムでは、人と人、人と情報の活動ログである「アクティビティログ」、コンテントの属性である「メタデータ」、およびユーザーの情報や権限などの「アイデンティティ」を組み合わせて統合管理していくことで、人中心のコンテントマネジメントを実現するという。

 具体的には、すでにNotes Watcher、HAKONE for Notes、およびKnow-Whoアドレスブックという既存製品で提供してきた、これらの機能をミドルウェア化し、メールやNotes、ナレッジマネジメント、コラボレーション、ファイルサーバ、ASPサービス、GoogleのようなWeb2.0サービスというアプリケーションレイヤに対するプラットフォームとして提供していく考えだ。

アクティビティログやメタデータの機能をミドルウェア化し、プラットフォームとしてさまざまなアプリケーションに

 ECM製品の第1弾として、HAKONE V1.3を投入するのに続き、「Google Search Appliance」を企業に売り込みたいグーグルと提携し、アクティビティログやメタデータの機能によってGoogle Search Applianceを補完する製品を2週間以内に発表する。また、年内をめどに企業向けASPのリーダーであるセールスフォース・ドットコムとも提携、AppExchangeパートナーとして名乗りも上げるという。

 「リアルコムは、Web2.0のビジョンをエンタープライズで具現化する“Enterprise2.0”のナビゲーターになりたい」と吉田氏は話す。

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