Web収益の行方――プロからアマへのシフトにあるものWindows Liveが魅せる次世代マッシュアップ(1/3 ページ)

Webが一般化したことにより、コンテンツだけでなくアプリケーションにもボーダーレスの動きが顕著だ。最初は興味だけで最新の技術へ興味を持っても、それがどのように一般化していくかも予想しておくべきだろう。Liveの場合は?

» 2007年03月27日 15時49分 公開
[大澤文孝,ITmedia]

 マイクロソフトがWindows OSのプラットフォームと並ぶものとして、“Windows Live”を掲げてからしばらくが経つ。オンラインプラットフォームとして、同社がこれまでと同じく一大サービスを作り上げようとしていることは明らかだ。

 このサービスは成功するのか否か?

 オンライン・ムックPlus「Windows Liveが魅せる次世代マッシュアップ」では、これまでにWindows Liveの仕組みやLiveガジェットの作り方、そして、Windows Liveで提供されるサービスを組み合わせたマッシュアップについて説明してきた。

 この記事では、今後Windows Liveがどのような方向へと向かっていくのか? そして、Webを取り巻く開発現場はどのように変わっていくのかを考えてみたい。

ガジェットは開発者の裾野を広げ、アマチュアプログラマ時代が再来する

 Liveガジェットの最大の功績は、アマチュアプログラマの復活にあると筆者は考える。

 従来はアマチュアプログラマも多かったが、近年、めっきり少なくなってきた。この背景には、開発環境の必要性やプログラミングそのものが高度になって難しくなったという点が挙げられるだろう。

 しかし、Liveガジェットは違う。なぜなら、JavaScript+CSS+HTMLで作られたものであり、これらの知識があれば、容易に開発できるからだ(関連記事:「MSが提供する新たな“オンラインOS”」(http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0611/07/news090.html))。これは、ぐっと開発者の裾野を広げる。

 開発者が増えれば、ガジェットの数も増え、活気が増すのは言うまでもない。実際のところ、「Gadget Gallery」には続々と新規ガジェットが登録され始めている。

 しかし数が増えるほど、「汎用的で使いやすいガジェット」と「使い方がよくわからない開発者のみ知るガジェット」が混じり、取捨に迷う面もある。

 解決策として、Gadget Galleryでは、人気度を「★」マークで示し、人気の高いものがひと目で分かるよう工夫がされている。そうとはいえ、Gadget Galleryは英語版であり、日本人にとって分かりづらいのも事実。今後は、ガジェットを紹介するサイトの需要が増えていくことだろう。

広告収入か販促ツールか

 敷居が低くなったのは良いが、それではガジェットで何を作るのが望ましいのかという疑問が、次に沸いてくる。

 ガジェットはアイデア次第であるが、中でも代表的なものは、いわゆる「便利ツール系」だ。例えば、電卓とか時計、さらにはゲームといった、デスクトップアクセサリ的なものだ。

 アマチュアプログラマであれば、単純に、便利だから、そして楽しいから、これらのガジェットを開発するという図式が成り立つ。しかし企業の場合には、そうは簡単にならない。便利なガジェットを作ったところで、収益につながりにくいからだ。

 商用ガジェットを実現するには、2つの方法があると思われる。

 すぐに思いつくのは、改めて言うまでもなく、よくある広告モデルだ。つまりガジェットに広告を提示し、広告収入から収益を上げる。

 マイクロソフト社自身も、Liveガジェットが増えた段階で、広告ビジネスモデルの提供を考えている。関連記事によれば、広告収益は、ガジェット制作者に還元される可能性もあるという。

 そうなれば、従来までは個人の趣味だったものの中に、商用のガジェットが増えてくるという期待ができる。しかし、広告モデルの登場を待たなくても、自社サービスのポータルとしてガジェットを提供するという第二の方法も考えられる。

 例えば企業は、自社サイトの更新情報を伝えるために、RSSを活用し始めているが、RSSの代わりにガジェットを提供するというのはどうだろうか。すでに一部の企業で取り組みが始まっているケースだ。

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