Web収益の行方――プロからアマへのシフトにあるものWindows Liveが魅せる次世代マッシュアップ(2/3 ページ)

» 2007年03月27日 15時49分 公開
[大澤文孝,ITmedia]

 ガジェットであれば、ユーザーはRSSリーダーを使わなくてもよく、インストールが容易だ。そして何より、文字以外のインタラクティブなコンテンツを提供できるというメリットがある。

 例えば、続々と新製品が登場するショッピングサイトであれば、ガジェット内に[カゴに入れる]のボタンを付加し、クリックされたら決裁画面に移動できるようにするといったサービスも実現できる。現在のところ、企業サイトの呼び込みにガジェットを使う例は、ほとんどない。しかし今後、Live.comのユーザーが増えてくれば、このようなガジェットも登場してくるはずだ。

 繰り返すようだが、このような使い方ができるのは、ガジェットの開発が簡単であるということにも関係している。もしも、ガジェットの開発が簡単でなければ、コスト的に見合わないからだ。

 ガジェットの開発が容易というメリットは、開発者の参入の敷居を下げるだけでなく、効果があるかどうかは分からないけれど、手軽に試してみることができる、という意味合いもあるのだ。

Ajaxによるマッシュアップは一過性の流行ではない

 オンライン・ムックPlus「Windows Liveが魅せる次世代マッシュアップ」では、ガジェットだけでなく、Windows Liveが提供する地図や連絡先などと連携するためのWeb APIについても触れてきた(関連記事:「地図とオンラインOSの関係」(http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0702/15/news013.html))。

 近年では、さまざまなサイトが公開するWeb APIを組み合わせて1つのWebアプリケーションを作る「マッシュアップ」が盛んだが、これは一過性の流行ではなく、強く根付くものであると筆者は考えている。

 さまざまなサイトによって提供されるWeb APIを組み合わせて使うというアイデアは、SOAPに始まり、XML-RPC、そしてRESTへと進化を遂げてきた。この進化のたびに、使いやすくなり利用者は増えてきた。利用者が増えれば、おのずと、提供されるWeb APIは、質・量ともに充実し、好循環する。

 SOAPは複雑で、誰でも使えるような代物ではなかった。それがXML-RPC、REST形式となり、徐々に敷居が下がってきたという背景もある。

 その延長上にあるのが、Ajaxを用いてWeb APIを呼び出すマッシュアップだ。Ajaxであれば、サーバサイドのプログラミング技術を必要とせず、JavaScriptだけで、まさに、つなぎたいものを好きなような組み合わせることができるわけだ。

 Ajaxも、登場当初は、Webブラウザの互換性の問題もあり、使う場所を選ぶ技術であった。しかし「OpenAjax」という業界団体ができたことで、今後、統一が図られ、Ajaxが標準になる時代は近い。

 一方、OpenAjaxには、最近、マイクロソフトとGoogleというAjaxの大規模な担い手が加わった。これによって、Ajaxそしてマッシュアップは、ますます盛んになるだろう(関連記事)

Live.comはクライアントサイドプログラミングの先駆けに

 総じて言えば、今後、Webアプリケーションは、サーバ主体のものから、クライアント主体のものに移りゆく傾向にある。

 Webアプリケーションといえば、開発者が書くコードはサーバ上で動くものであり、そこからクライアントに対してHTMLを出力するという流れが基本だ。

 しかし近年は、この流れが変わり、クライアントサイドで実行されるJavaScriptプログラミングが台頭を表しつつある。もちろんサーバ上の開発が、なくなるわけではない。しかしサーバ上での開発は、もはや必須ではない。

 Ajaxを使えば、クライアントサイドのJavaScriptから直接Webサーバのコードを呼び出すことができる。Ajaxから呼び出すことができるさまざまなWeb APIが登場した現在、もはや、Webサーバ上のコードを開発者が用意する必然性はなくなった。

 Windows Liveは、このようなWebアプリケーションにおけるクライアントサイドプログラミングの先駆けとも言える。

 Windows Liveの役割は2つある。

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