アンケートが教えてくれた「猫に追われるチョロQ」――玩具企業のDBマーケティングアイティセレクト特選事例:タカラインデックスeRラボ株式会社(2/2 ページ)

» 2007年03月28日 07時00分 公開
[アイティセレクト編集部]
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誰も気づかなかった遊び方

 タカラトミーでは、Clementineを主に2つの用途で活用している。自由回答のテキストマイニング結果からは、定量的な分析だけでは見落としがちな細かい意見も拾えるようになったという。

 例えば、『チョロQ』シリーズの中で、ラジコン操作ができる『Qステア』という商品がある。アンケートからは、その具体的な使い方が分かる。

 「飼い猫と一緒に遊んだり、子供と一緒に遊ぶといった使い方がありました。コレクション目的や、レースをさせて楽しむといった使い方も見受けられます」(福家氏)。また、何百ものキャラクターがある『ポケモン』シリーズに関しては、キャラクターの人気を分析した。

 「アンケートで好きなキャラを3つ挙げてもらいました。その順位をつけるのはもちろん、キャラの組み合わせも分析してみると、ダントツで2つのキャラが人気となっており、しかもセットで挙げられるケースが多いことが分かったのです。この情報から、小売店の陳列棚を工夫するなど販売上の工夫が可能になります」と、データベースマーケティング部マネージャーの神谷謙五氏は言う。

 神谷氏はClementineを選んだ理由を改めて次のように話してくれた。

 「まず、Clementineの基本となるデータマイニング機能にログ解析モジュールを組み合わせることで、顧客DBとWebのアクセスログを組み合わせて分析できる点が挙げられます。それから、GUIで容易に分析ロジックを組むことができるという点も理由の1つです。プログラミングが不要で、低コストかつ短期間にロジックを構築できるため、定型化できないような分析ニーズにも対応します」

 もう1つの大きな用途は、Webでのユーザー行動の把握だ。現在、まだ研究を重ねている最中だが、今後、顧客DBにある会員の属性や購買履歴、Webアクセスログのデータを合わせて分析していきたいと考えている。

 「一人の顧客が、どういう経路で何を買うに至ったかを分析できるようになります。ECサイトで得られるのは最終的に購入されたアイテムの情報だけです。ECサイトの情報とアクセスログを付き合わせて分析すれば、購入に至るまでのアクセスの動きが分かり、選ばれなかったアイテムも分かるというわけです」(神谷氏)

タカラインデックスeRラボ、データベースマーケティング部マネージャー 神谷謙五氏

顧客の成長に合わせて製品開発

 福家氏はアンケートを元にしたマーケティングの具体例についてさらに語ってくれた。

 「例えば、米TIME誌「最も優れた発明品」にも選ばれた『ウォーキービッツ』という亀の形をしたロボットがあります。これが爆発的なヒットとなったのですが、次の展開ではより楽しめる商品にしたいという考えから、甲羅にペイントしたりシールを貼ったりしてドレスアップできる商品を企画しました。そして、その商品が本当に受けるのか、顧客DBを利用して既存のユーザーからアンケートを採ったところ、ぜひ欲しいという声が数多く寄せられて商品化の運びとなりました。もちろん、企画する側としては売れると思って企画しているわけですが、アンケートで顧客の反応を見てから開発に取りかかれるようになったのは大きいですね。今後は、よりダイナミックにアンケート結果を開発へとフィードバックできるようにしたいと考えています」

 タカラトミーでは、今後さらにデータの精度を上げ、マーケティング部門でのさらなる活用に取り組むという。また、顧客DBの整備は合併前の旧タカラで始まったが、今後は旧トミーの商品にも広めていく方針だ。

 そして、顧客DBを元に、個々の顧客に対してより積極的な提案を展開していこうとしている。例えば、Webではユーザーへのレコメンデーション機能を検討中だ。また、顧客の成長に合わせて商品を提案していくという案もある。

 「幼児から小学生、さらにその上の年齢層へと、お子さんの成長に合わせて展開していくことも可能になるのです」(福家氏)。幅広い年齢層に対応した商品群を持つタカラトミーならではの取り組みと言えるだろう。

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