しかしながら、ビジネスシーンで単に拒否するだけでは問題だと指摘を受けることになるだろう。それは、外部の顧客に対して失礼だという意見、または緊急時に連絡を取りたくても取れなくなるという意見だ。このため、さらに以下の図2のようなシーケンスも加えた。
注意したいのは、Priorityヘッダの用法については、RFC3261のセクション20.26でも触れられているもので、独自仕様というわけではないということだ。
この方法で外部(ゲートウェイ装置)からの呼に対してはPriority=「緊急」を付加しておけば、外部に対して失礼なことにはならない。また、内線においては「緊急」ボタン(ラインキーの設定により行う)を設けたことで、本当に緊急性が高いのかどうかを意識した上で発呼するようになり、「取込中」の状態設定を行った人の意向が損なわれることもなくせるはずだ。
もちろん、ワンアクションで緊急発信ができないようにすることも重要である。
筆者は、この緊急発呼という考え方がプレゼンスとして実装できると分かったとき、多くのレガシーPBXで提供していた「キャンプオン機能」についても、より精度を高めたものとして提供できることに気づいた。
キャンプオン機能とは、相手が通話中などの理由で呼び出せなかったとき、特定の操作を行うことで、相手の通話が終わると同時に自電話機を鳴動させ、受話したと同時に再度目的の相手に自動発呼してくれる機能である。それをプレゼンスを用いて実装すると、図3のシーケンスになる。
2001が2002を呼び出し、いったん着信が抑止されるまでのシーケンスは、図1と同じである。これによって、2001は2002が取込中であることを知り得たわけである。
しかし、緊急発信しなければならないほどではないが、通常状態(オンライン)になった時点で直接会話したい。そう思ったら、キャンプオン(ラインキーに設定する)ボタンを押す。すると、とりあえず1時間(この値は設定で変更できる)プレゼンティティ(2002)の状態変化を通知してもらうようサーバに依頼する(F12〜F15)。
ここで、プレゼンティティが「取込中」から「在席」に変わると、F16のNOTIFYが発行される。これによって、ウォッチャーの2001にも「在席」となった旨が通知される(F17)。この通知を受けた時点で2001自らを鳴動させ、受話すると、F18の通常の2002に向けたINVITEが発行される
以上のシーケンスを用いてキャンプオンを実現するのだ。
ちなみに、これら図1〜3のいずれのシーケンスも、実際に鳥取三洋電機製のIP電話機「SIP-1900/SIP-2100/SIP-2400」に実装してもらった機能であり、既に実現済みである(現時点ではスカイウェイブの「SkyIP-PBX」サーバおよび日立の「SIP:OFFICE」サーバとの連携においてのみ提供中)。
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