シスコの仮想会議システム、NGNフィールドトライアルで多拠点接続が可能に

シスコシステムズは、リニューアルしたNGNショールームで高品位IPテレビ会議システムのコネクティビティを実証中。最大12拠点まで対応できるという。

» 2007年07月20日 11時56分 公開
[ITmedia]

 NGN(次世代ネットワーク)の本格的な商用サービス開始に向け、フィールドトライアルを展開中のNTTグループでは、2006年12月20日に東京・大手町と大阪・梅田で、顧客向けにそのサービスや端末機器の体感、技術確認などができるようショールーム「NOTE」(NGN Open Trial Exhibition)を開設している。そして7月18日、新たに13の各種サービスや端末機器を追加し、NOTEをリニューアルオープンした。

画像 リニューアルオープンしたNOTE

 NGNフィールドトライアルには内外の事業者たちが参加し、精力的な取り組みを展開しているが、シスコシステムズもそれらのうちの1社。現在「Cisco TelePresence」のコネクティビティ実証やアプリケーションサービスの提案を行っている。

画像 3拠点通信のトライアルを行うCisco TelePresence

 CiscoTelePresenceは、高精細カメラによる高解像度のビデオや高品質な音声、そして対話要素を組み合わせて、離れた場所の会議参加者同士でもネットワーク上で「空間共有」できるようにするIPテレビ会議システムで、対面形式のライブ会議を実現できるのが特徴。TelePresenceの製品群には、12名の会議が可能な65インチ大型プラズマ画面3台によるシステム「Cisco TelePresence 3000」、4名の会議が可能な同プラズマ画面1台によるシステム「Cisco TelePresence 1000」、Cisco Unified CallManager 5.1と統合しIP電話から会議を開始したり、会議のスケジューリングや会議の詳細をすべて記録可能なリポート機能を制御する「Cisco TelePresence Manager」などが用意されている。

 2006年12月のオープン時点では、NOTEの1、2階という2拠点間トライアルだったが、今回、多拠点接続装置TelePresence Multipoint Switchを付加したことにより、新たにNTTの武蔵野研究所を含めた3拠点で展開できるようになった。TelePresence 3000の場合、仕様上では12拠点、最大36画面で利用可能であり、相手拠点の映像は発言の音声に応じてその都度切り替わるようになっている。

画像 TelePresenceでサービス実現するためのシステム構成例

 同社クワッドプレイ・ビジネスディベロップメント コンピテンシー・センターの菊池政弘氏は「等身大の高精細映像や高音質は従来にないもの。特に相手の表情がはっきり分かるので、より臨場感のある会議が行える」とそのメリットを強調する。プロジェクタの映像も、現在どの拠点でも全員が共有できるよう静止画像となっているが、近々1秒当たりのフレーム数を現在の5から30に引き上げる予定で、動画も可能になるという。もちろんオーディオも共有でき、ユーザーには「相手拠点で缶ジュースのふたを開ける音までクリアに聞こえる」と上々の評判だとしている。また、NTT営業本部の島和弘氏は「NGNのメリットは、なんといっても企業のB2B展開によるサービス品質(QoS)とそのカバーエリア」と話す。

 現在、TelePresenceは金融を中心に証券、保険、製造業などグローバル展開する企業で導入が進んでおり、また企業以外にも図書館や自治体、医療機関での利用が期待されている。さらにシスコは、このトライアル期間中、ユーザーから得られた声を基にさらに活用法を探ることも狙いとしている。実際、「バーチャル家庭教師や東京に来なくても済む入社面接などができないか」といったユニークな声も聞かれたようだ。

 シスコの基本的なNGN戦略は、「他社のようなNGN製品という位置づけではなく、むしろユーザーの働く、あるいは暮らす環境をどううまく変えていくかに注力すること」という。同社の黒澤社長もこだわる「NGNでは日本から世界に向けて標準化を進めていく」ことも大きな目標だ。

 大手町NOTEは2007年12月まで開設。見学は事前予約制となっている。

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