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» 2007年08月01日 06時40分 UPDATE

ワークスタイル変革:差のつく仕事はここから始まる――「シャドーワーク」事始め (1/2)

最近「シャドーワーク」という言葉があちらこちらで聞かれるようになった。「影の仕事」が注目され、それをマネジメントするための方法論が議論される理由とは。

[大西高弘,アイティセレクト編集部]

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家事労働、ボランティアが語源

 シャドーという単語に続く言葉としては、シャドーボクシング、シャドーキャビネットなどが上げられるだろう。前者は倒すべき相手を想定して行われる訓練だし、後者は現実の内閣の一員ではない野党議員が「自分が大臣ならこうする」という意思表明の方法として使われるものだ。

 最初に「シャドーワーク」という言葉を世に送り出したのは、そのものずはり「シャドーワーク」(一條和生 徳岡晃一郎共著 東洋経済新報社刊)という書物である。2007年に刊行されたこの本をきっかけにマネジメントに関心を持つ企業関係者の間で、隠れプロジェクトなどとも呼ばれてきた組織内でのインフォーマルな仕事が注目されるようになった。

 シャドーワークとはそもそも「シャドウワーク」という呼び方で、オーストリアの社会評論家イヴァン・イリイチが唱えた概念をヒントにしている。家事労働や一部のボランティアなど無報酬の仕事だが、社会・経済にとっては必要不可欠な労働という意味で使われた。

 表に出てこない「隠れた労働」であり、賃金として評価されない、ある意味で「差別された労働」であって、それを社会的に認知し適切に対応することが必要だという文脈で語られることが多かった。

「熱」を帯びた仕事集団を作りたい

 しかし最近になって語られるシャドーワークは、趣が違う。

 企業内のフォーマルな組織やプロジェクトではなく、それらに縛られないインフォーマルな集団の独自活動をシャドーワークと呼び、それが商品やサービスの開発に大きな力となるケースが増えているという。もちろんインフォーマルな活動ゆえ、それ自体には賃金などの報酬がないのが普通だが、参加者はそれを特に苦にしているようには見えない。

 逆にひどく苦痛が伴うシャドーワークというものは有り得ないといっていいだろう。命令され、しぶしぶやらされる仕事をインフォーマルな集団の中で継続されることはないからだ。

 企業の方でもサービスや商品の高付加価値化や差別化が求められる現在、フォーマルな組織では対応し得ない自由な発想をインフォーマルな活動の中に求めていくことが必要とされ始めた。つまりシャドーワークをどう経営の中に取り込んでいくかが、企業の一つの課題になりつつあるのだ。

 経営課題から各部門に具体的なテーマが下り、数値的な目標が発生する。マネジメントをする側からいえば、フォーマルな形でメンバーを選び、プロジェクトチームを作り出すことが重要な仕事ともいえる。しかし、ユーザー、顧客が驚き、喜ぶサービスや製品がいつもそうしたプロジェクトチームから生まれているだろうか。部門横断的なチームを正式な辞令によって作り出し、何とかキックオフにまでこぎつけたが、どこか冷めた雰囲気の初ミーティングに焦燥感を覚えたことのあるマネジャーは少なくないはずだ。

 そういう意味で、シャドーワークはある種の熱を帯びた集団の仕事であり、冒頭に示した、シャドーボクシング、シャドーキャビネットという言葉が意味するような「予行演習」的なものでもない。あくまで、現実の仕事と密接に結びついたものなのである。

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