分散運用管理の落とし穴――PCオタクに任せて安全なのか?システム管理の“ここがヘンだよ”(1/3 ページ)

全国にサテライトオフィスを持つ大阪のB社では、PCに詳しい人を配置して運用していた。だが、この運用管理体制では問題が噴出。やはり、PC好きに「任せっぱなし」がいけなかったのか。

» 2007年08月24日 07時00分 公開
[池田冬彦,ITmedia]

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 大阪にあるB社は、北海道から沖縄まで多数の支店、サテライトオフィスを配置している。拠点の数があまりに多いため、本社の情報管理部門だけでは到底、全体の管理を行えるだけの体力がない。そこで、マシンの買い換えやソフトのインストール、セキュリティ対策といったベーシックな作業は、各拠点の「PCに詳しい人」に一任せざるを得ない状況だ。

 そんな中、東京都内にあるサテライトオフィスは、かなりPCに詳しい社員、A氏が管理を行っていた。デザインや設計という仕事柄、グラフィックソフトやCADソフトなど、比較的マシンパワーのあるPCが必要だが、メーカー製品を買うとかなり高くつく。だがその拠点だけは、秋葉原でパーツを調達、組み立てた自作PCを仕事に使うことで、コストパフォーマンスの良い運用を行っていた。まさに、そのオフィスはA氏の天下だった。

 そんなA氏の自宅は、自作PCがゴロゴロ。まさに、筋金入りのPC好きと見受けられる人物である。恐らくは、社員の中でも一番PCに詳しいだろう。年齢から言えば、もう40歳代。90年代のコンピュータ黎明期から秋葉原に入り浸っていた。本社からすれば、そんな人にうまくやってもらうのは、実に「理想的」な姿に見えたのだが……。

いきなりファイルサーバに接続できない!

 ある日、大阪のシステム管理部門にA氏から1本の電話が入った。「ファイルサーバが見えなくなってしまった。こっちではどうにもならないので来てほしい」という。電話を受けたシステム管理者、F氏は東京オフィスに直行し、問題の起こった自作PCを調べ始めた。しかし、ちょっと調べただけでは原因が分からない。やはり、A氏が困るくらいの深刻なトラブルなのだろう。

画像 問題を起こした自作PC。かなり手が入っているようだ
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