携帯電話は2つの電話番号と“メアド”を持ちたい――ドコモ「2in1」の今ITトレンドの“眼”(1/2 ページ)

1台の携帯電話で2つの電話番号とメールアドレスが持てるNTTドコモの「2in1」サービス。開始から半年が経ち、個人や法人利用に求められるシーン、ニーズが鮮明化しつつあるという。

» 2007年09月27日 06時30分 公開
[三浦優子,ITmedia]

 NTTドコモが904iシリーズから提供を開始した「2in1」は、1台の携帯電話で2つの電話番号とメールアドレスを使い分けられる。携帯電話2台分の利用を可能にする。ドコモ側では個人、法人両方の利用を想定してサービスを開始した。当初は個人需要が先行しているものの、法人ユーザーからの注目度も高い。今後は法人向け機種で2in1を利用できるものを用意する計画だ。

 このサービスのどんな点が法人ユーザーの興味を誘ったのか。そしてNTTドコモ側では法人ユーザーからの反響をどう受け止めているのだろうか。NTTドコモにサービス開始後の反響を聞いた。

3カ月強で契約数14万件近くに

 「これまでのサービスにはない反響をもらっています」――NTTドコモプロダクト&サービス本部マルチメディアサービス部コミュニケーション企画の尾上健二担当課長は2in1の反響についてこう説明する。

プロダクト&サービス本部マルチメディアサービス部コミュニケーション企画の尾上健二担当課長

 「これだけ問い合わせが多いのは、このサービスに興味を持ったという前向きなものに加え、どういうサービスなのか概要がきちんと理解できないというものも含まれます。その意味ではわれわれの説明が不十分だったということなのかもしれません」(尾上氏)

 2in1では、1台の携帯電話を利用して2つの電話番号とメールアドレスを「モード機能(Aモード、Bモード、デュアルモード)」で簡単に使い分けられる。モードを切り替えると、相手に通知する電話番号、メールアドレスだけでなく、電話帳データや発着信履歴なども自動的に切り替えることも可能だ。異なるモードの情報を参照できなくするセキュリティ機能も搭載している。

 しかも、通話料金をAモードとBモードを別々に請求できる。つまり、1台の端末で、個人用途と会社用途を別々に支払うことも可能となるため、企業ユースにも利用できるのではないかと注目を浴びることとなった。

 5月22日にサービスをスタートし、8月末時点で13万9400件の契約数を獲得した。毎月945円の利用料が必要になるにも関わらず、3カ月強でこれだけの契約数を獲得できたことは、このサービスを待っていた利用者が多かったことをあらわしている。

 この契約数が法人需要なのか、個人需要なのかは、ドコモ側は明らかにしていない。ただし、ドコモ側では最初に立ち上がるのは、法人ではなく個人需要となると考えていた。13万9400件の契約者も個人需要が多いものと見ている。法人の場合、サービスを利用するか、否かの検討を行う時間が必要になるため、ドコモの見方は妥当なものだといえる。

 それでは個人の場合、どんな目的で2つの電話番号、メールアドレスを使い分けている人が多いのだろう。

 「当社が最初に想定していたのは、法人需要というよりは個人需要です。携帯電話の電話番号を、ライフスタイルにあわせて使い分けてもらう。例えば、女性は自分の携帯電話番号を初対面の人に教えるのは抵抗があるという声をよく耳にします。そういう場合、番号を2つ持つことで、本当に親しい人に教える番号と、初対面の人に伝える番号を変えるといった使い方が可能になるのです」(尾上氏)

 尾上氏は2in1のスタート前、複数の携帯電話を持つユーザーにその理由を尋ねた。その中で挙がった声が、「携帯電話を使い分けると、使う端末によって気持ちが切り替わる」というものだった。場面、場面にあわせて端末を使い分けているユーザーが存在するということだ。

 しかし、「気分転換に最適だ」といって、複数の端末を持つことをキャリアが勧めるというのは現実的ではない。1台の携帯電話ですら忘れ物ものにしてしまうユーザーがいることを考えると、複数の端末を持ち歩き、使い分けることができるユーザーばかりではない。それに対し2in1は、1台の端末を気分によって使い分けることを可能にする。個人ユーザーにとっては、新しい携帯電話の使い方を提案するサービスだ。

 女性だけでなく、男性が就職やサービスの会員登録などを行う際の専用に、もう1つの電話番号やメールアドレスを利用するといった使い方もできる。個人生活の中で、「公」と「私」を分けるために利用することも可能なサービスが2in1だ。

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