「刑務作業でRuby」はどうなったのか――秋の夜の幻

今年5月、当時開所前だった日本初のPFI刑務所「美祢社会復帰促進センター」の刑務作業として、Rubyを用いたソフトウェア開発が行われるという発表があった。あれから半年、実際はといえば……。

» 2007年10月17日 17時07分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 今年5月、当時開所前だった日本初のPFI刑務所「美祢社会復帰促進センター」の刑務作業として、ソフトウェア開発アウトソーシング業務が実施され、その開発言語はRubyが用いられるというニュースをお届けした。

 PFI(Private Finance Initiative)という聞き慣れない言葉は、民間資金を利用して民間に施設整備と公共サービスの提供をゆだねる手法を意味している。つまりPFI刑務所とは、民間ノウハウを活用した刑務所のことである。

 当時、このソフトウェア開発関連の刑務作業案件を担当する企業であると称するプリズニーズからリリースが配信され、それを受けてITmediaを含む多くのメディアで「刑務作業でRuby」という見出しが躍った。

 しかし、美祢社会復帰促進センターおよび同所の整備・運営事業を落札した「美祢セコムグループ」が設立した特定目的会社である「社会復帰サポート美祢」は、プリズニーズがソフトウェア開発関連の刑務作業案件を受注した事実はないと当時、電話取材に対し答えていた。

 あれから半年、美祢社会復帰促進センターではRubyを用いたソフトウェア開発が行われているのだろうか。

 再度、社会復帰サポート美祢に電話取材を行ったところ、前回の回答と変わらず、プリズニーズがソフトウェア開発関連の刑務作業案件について、その担当企業となった事実はないとの回答だった。加えて、すでに開所はしているものの、現時点で刑務作業としてソフトウェア開発は行われていないという。

 受刑者への教育だけでなく、出所者の就職などさまざまな方面に寄与すると思われた刑務作業でのソフトウェア開発。実現はまだまだ先の話になりそうだ。

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