“美しい星”を目指す日本国内の動き「環境にやさしく」できますか?(1/2 ページ)

データセンターからのCO2排出を減らす取り組みが国内外で提案されている。今回は特に日本国内の動きを見てみよう。

» 2007年12月05日 07時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「サーバ祭2007」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


情報流通量の拡大で電力消費は40年で12倍

 ガートナーの調査によると、サーバやPCの稼働によるCO2総排出量は、機器の冷却や通信ネットワークまで含めると、全世界の排出量の2%以上を占めるという。これは航空機産業の総排出量に匹敵するレベルとされる。

 また、データセンターからの二酸化炭素排出量は、世界のIT関連技術全体の排出量のおよそ4分の1に達しているらしい。今後、サーバやストレージの消費電力の測定、省電力に効果のある仮想化技術の導入、最適な容量計画立案と冷却効果の改善、IT機器資産の効率的配置と再利用などが行われるべきだという。

 このような状況をうけ、AMD、デル、HP、IBM、インテル、マイクロソフト、サン・マイクロシステムズ、VMwareなどがボードメンバーとなり、07年2月にデータセンターの電力コスト削減を目指す世界規模の非営利コンソーシアム「グリーン・グリッド・コンソーシアム」が動き出した(前回の記事を参照)。

 一方、日本国内では、政府が2007年5月に「美しい星50(Cool Earth 50)」というパッケージを提案。「世界全体のCO2排出量を現状から2050 年までに半減」という長期目標を世界共通目標とし、その達成のため、「革新的技術の開発」と「低炭素社会づくり」という長期ビジョンを提唱している。

 2007年6月に行われた、ドイツ・ハイリゲンダムサミットの首脳宣言でも、「温室効果ガスの排出削減の地球規模での目標を2050年までに半減させるというEU、カナダ及び日本による決定を真剣に検討する」という合意に達している。

 内閣官房のIT戦略本部では、2007年4月に策定した「IT新改革戦略・政策パッケージ」で今後の方向性を明らかにするとともに、7月には「重点計画-2007」を発表。「IT を駆使した環境配慮型社会」に向け、社会経済活動の環境負荷をITの活用により直接的、間接的に最大限削減することを提言。地球温暖化対策推進本部と連携して、BEMS(ビル用エネルギー管理システム)によるエネルギー管理手法の定着や、HEMS(家庭用エネルギー管理システム)普及・促進のための低コスト化に向けた技術開発を行うという。

 加えて、経済産業省では、2008年度の予算要求に「グリーンITプロジェクト」を加えている。同省の試算では、情報流通量が爆発的に拡大した結果、2006年から2025年までに100〜200倍ものデータ量になり、電力消費は5倍以上、2050年には12倍まで拡大するという(図1)。

図1 経済産業省が考える「グリーンITプロジェクト」の効果(参考:経済産業省 商務情報政策局の資料より)

 これを見越し、高耐温・極低消費半導体、超高効率CPU冷却システム、有機ELディスプレイ、高効率データ保存・圧縮技術、熱回収再利用スマートデータセンター、データ最適配分型革新ルータ技術など、半導体からネットワーク全体を見据えた、中・長期の革新的省エネアプローチで、消費電力、CO2とも半減を目指す考えだ。

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