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» 2008年01月03日 00時00分 UPDATE

日本のインターネット企業 変革の旗手たち:顧客満足のためのネットリサーチサービスを

もはやマーケティング手法としてインターネットを使った調査が一般化しつつある。ネットリサーチ専門企業のマクロミルは創業以来ネットリサーチ業界をリードしてきた。その強さについて、辻本社長は「システム」と「人」を挙げる。

[ITmedia]

 ネットリサーチ専業として成長を続けるマクロミルは、何よりも「人」を大切にする企業である。顧客の満足を常に心掛けたサービスを展開し、一緒に働く社員を兄弟のように愛することが大切だと、辻本秀幸氏は語る。

ITmedia まずはマクロミルの概要と、辻本様がご入社された経緯をお聞かせください

辻本 マクロミルは2000年に創業したネットリサーチ専門企業で、国内58万人を超えるモニターと海外30カ国以上・500万人の消費者を対象に、企業の商品開発・サービス改善などに生かされるさまざまなネットリサーチサービスを提供しています。

マクロミルの辻本秀幸代表取締役社長 マクロミルの辻本秀幸代表取締役社長

 私自身は以前リクルートに勤めていましたが、満20年勤務の節目を迎えるにあたり、新たなステージでチャレンジしたいという気持ちを持ちました。そんな折、前職で後輩だった、現マクロミル代表取締役会長の福羽から声が掛かり、マクロミルのさらなる成長を共に目指すことになりました。自分自身もマーケティング領域のビジネスに興味があり、リクルートで培った営業力を武器にして「売れるしくみ」を作りたいと考えていました。そこで2006年4月にマクロミルへ入社し、同年9月に代表取締役社長に就任しました。

ITmedia 今ではネットをフル活用した事業を展開されておりますが、ご自身がネットビジネスと出会ったきっかけは?

辻本 ネットビジネスが世の中で盛んになってきた2000年、リクルートがインターネットで旅行代理業を行うリクルートイサイズトラベルという会社を設立し、同社の代表取締役社長になった時です。当時、インターネットを使った旅行予約ビジネスはアメリカにおいて主流でしたが、日本ではまだ先駆けでした。

ITmedia 実際に携わってみて苦労した点は何ですか?

辻本 私が社長に就任した時、同社はインターネットを使っても完全なオートメーション化が難しく、どうしても人の手を介す部分が残ってしまい、予想以上に人件費などのコストが膨れ上がっていました。経営者としてネットビジネスにおける原価収益構造管理の厳しさを痛感しました。どうすれば全体の収支構造が変わるのかその仕組みを考える一方で、サービスの質を落とさないように、皆で頭を悩ませながらユーザビリティの向上や商材のバラエティを追求し、ビジネスをうまく好転することに成功しました。

ITmedia そうした中で、当時からアンケート調査などを行われていたとのことですが

辻本 はい。サービス向上のためにアンケート調査やグループインタビューをしたことがありました。

ITmedia これはネットリサーチですか?

辻本 当時サービス提供していた旅行予約サイトのユーザーを対象にインターネット上で調査を行いました。しかし、2000年当時は自社サイトユーザー以外の一般消費者を調査する場合には、まだマクロミルのようなネットリサーチサービスの認知が高くなかったので、圧倒的に郵送アンケート調査やグループインタビューが主流でしたね。

ITmedia その後、偶然にもマクロミルで本格的なネットリサーチに携わるわけですが、従来の調査手法と比べて大きく違いを感じたのはどこですか?

辻本 これまでのアンケート調査などと比べて、ネットリサーチでは圧倒的に短時間、低コストで調査が可能なことに驚きました。調査対象のターゲティングが容易な点にも便利さを感じました。マクロミルは「手軽で」「安くて」「品質の高い」をキーワードに、創業以来、顧客にクオリティの高いサービスを提供できるようなリサーチシステムの開発に注力しています。

ITmedia するとシステム力には自信があると?

辻本 はい。システムについては、独自開発のネットリサーチシステム「AIRs」によって、調査票作成から集計、リポートまで一連のリサーチ工程を自動処理し、圧倒的なスピードで調査結果を出すことができます。調査開始から24時間以内に納品が可能ですので、従来型のリサーチ手法に比べ調査にかかる時間を短縮し人手もかからないため、コストを抑えることができます。

マクロミルの辻本秀幸代表取締役社長

 もう1つの強みは「人」です。スタッフ1人1人がリサーチ提案力やデータの分析力を磨き、顧客が求めるものを的確にとらえ、痒いところに手が届くサービス提供を心掛けています。「システム」と「人」の両方を兼ね備えていることが、当社の強みだと思っています。

 また、弊社は社員の連携が強く、オフの日にも社員同士で集まってバーベキューやキャンプなどを企画するなどコミュニケーションをとっています。そういった社内の円滑なつながりが、結果として顧客へのサービス力向上にもつながると思います。

ITmedia ネットリサーチ業界には競合の参入も目立ちます。他社と比べて御社が勝っている点はどこですか?

辻本 この業界は3年くらい前まで競合企業が多く存在していましたが、しだいに淘汰されてきて、現在は大手ポータルサイトを基盤とする企業と当社のような独立系のネットリサーチ専業企業という構図になりました。マーケットのすそ野はまだ広いと思っており、大手が参入することで市場自体が大きく成長できるので、競合各社とともにユーザーニーズを広げ、お互いにサービスを向上させていきたいと思っています。

 勝っている点といえば、やはりシステム力とこれまでネットリサーチ業界のNo.1企業として培ってきたノウハウや対応力です。モニターやデータの品質にも強くこだわり業界を牽引してきた強さを武器に、今後もNo.1であり続けたいと思っています。

ITmedia では、No.1企業であり続けるために経営者として心がけていることは何ですか?

辻本 私自身のマネジメントコアとして「愛」と「志」をテーマにしています。リクルート時代の研修で、マネジメントする際に何を大事にするかということについて、自分の言葉で表現するという課題がありました。そこで私はこの2つにたどり着きました。

 「愛」というのは、一緒に働いている自分たちの仲間を兄弟のように思う気持ちです。兄弟だと思い接することで、たとえ厳しいことでも親身になって伝えることができるし、仕事に限らず一生付き合っていくことができます。

 「志」は、生まれてきたからには何かを残したい、何かに貢献したいという信念を持つことです。私は社長として、マクロミルをもっと世の中に知ってもらい、社会に対して大きな貢献ができる企業にしたいと思っています。新商品開発や、商品の販売動向などについて顧客が困った時、まず一番に「マクロミルに相談しよう」と思ってもらえる会社にしたいです。「顧客が心から満足し、感動するサービスを目指す」という当社の経営理念が示すとおり、まずは顧客に満足してもらうことで、世の中に貢献していくべきだと率直に考えています。

ITmedia 一緒に働く人材について、採用する上でのポイントはありますか?

辻本 当社は「成長意欲」を持っている人を歓迎します。IT業界はマーケットの変化が激しい業界ですので、常に新しい視点で意見をどんどん出してもらいたい。仕事を通して自分自身が成長し、その刺激を受けて周りの同僚や先輩たちも成長していく。お互いの成長にこだわり続けるという価値観を共有できる人が好ましいです。

 加えて「ロジカルさ」を持った人です。学歴などは関係なく、物事の本質を考え抜く力、物事の課題や問題点を筋道立てて整理できる力があるかどうかを採用時にみています。

マクロミルの辻本秀幸代表取締役社長

ITmedia 最後に、今後の展望について教えてください

辻本 アメリカと比べて日本は、まだまだネットリサーチを知らない人が多いのが現状です。大手企業のマーケティングご担当者には、マクロミルの名が浸透していますが、今後は中堅・中小規模の企業にも利用機会を持っていただきたいです。一方、既存の取引先企業においても、マーケティング部門以外のセクション(営業、企画開発、経営戦略など)にも利用を広めていきたいと思います。

 現在の取引実績は2800法人、年間8000件を超えるリサーチプロジェクトを抱えていますが、今後は、これまでリサーチを行ったことのなかった企業の方にまで、どうネットリサーチを浸透させるかという点が課題ですし、グローバル展開の強化やネットリサーチを軸とした周辺ビジネスの創出にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。

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