申し込み希望は数万回線――ウィルコムのPHS内線サービスが好調モバイルセントレックスのススメ

ウィルコムが昨年秋に開始した、全国でPHSを内線利用できる「W-VPN」サービスが好調な出足を見せているという。

» 2008年01月24日 07時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

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 ウィルコムが昨年10月から利用受付を開始した、PHSの内線利用サービス「W-VPN」の申し込み希望数が数万回線規模になっているという。モバイル環境で内線を利用する新しいスタイルとして注目されている。

 W-VPNは、企業内のPBXとウィルコムの専用線装置「ITX」を近隣にあるNTT局舎のMDF(Main Distributing Frame)を介して接続する仕組み。ウィルコムのサービスエリア内であれば、同サービス対応のPHS端末を用いて内線通話ができる。

サービスの仕組み

 喜久川政樹社長は、1月21日の新製品発表会で昨年12月に契約件数が純増に転じた理由の1つに法人利用の拡大を挙げた。W-VPNサービスは12月からテスト運用が始められたが、喜久川社長によれば利用申し込みは数万回線に達しているという。

 従来、携帯端末を内線利用するには無線LANに対応した専用端末を利用するか、携帯電話網にも対応するモバイルセントレックスシステムの導入が必要となっている。社内の通話を定額制料金で利用するサービスはウィルコム以外にも携帯電話各社から提供されているが、基本的には内線番号で通話することはできない。

 W-VPNでは、定額プランもしくはビジネスタイム定額トリプルプランの契約が必須だが、月額315円/端末(別途ITXへの接続料月額5250円が必要)を追加するだけで内線番号での通話ができる。初期工事費はITX接続工事費が1回線当たり1万500円、端末の設定費が同1050円掛かる。モバイルセントレックスの導入コストは、平均で数千万円規模になる場合があり、W-VPNは安価に導入できる点も注目されているようだ。

 プロジェクト営業部の稲垣健二担当部長は、「希望企業は投資規模が小さくコミュニケーションを効率化できる点に関心があるようだ。12月までに300社以上の申し込みがあり、半数以上が新規顧客」と話している。

指紋認証などセキュリティ機能を強化した「WX321J-Z」
W-VPN対応端末「WX220J-Z」

 W-VPNには、ITXがNTT局舎内に設置されている必要があり、地域によっては利用できない場合がある。対応端末は「WX220J-Z」の1機種のみだが、2月下旬に「WX321J-Z」を追加するほか、スマートフォンへの対応も予定する。

 稲垣氏は、「ITXの整備とPBXベンダー各社の製品との接続検証を迅速に進めたい」としている。

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