仮想化ベンダーのVMwareが「Virtual Desktop Manager 2」を正式にリリースした。
VMwareでは、一元的コンピューティング環境の構築を容易にする取り組みを進めている。
VMwareは1月30日、Virtual Desktop Managerのバージョン2をリリースした。これは、同社の「Virtual Desktop Infrastructure」(VDI)スイートに新たな管理機能を追加するものとなる。
VMwareのダイアン・グリーンCEOは「VMworld 2007」カンファレンスで、Virtual Desktop Managerについて、企業がVirtual Desktop InfrastructureスイートをVMwareのサーバ向けプラットフォーム「Infrastructure 3」と組み合わせることによって、デスクトップ管理を一元化することを可能にする「コネクションブローカー」であると説明した。
ベンダー各社は以前から、一元的なコンピューティングモデルの開発を進めてきたが、昨年ごろから、データセンターの1カ所からクライアントを集中管理する技術の開発への関心が一段と高まってきた。Hewlett-Packard(HP)は1月24日、数種類の新しいシンクライアントデバイスに加え、Neowareの買収を通じて取得した新技術を発表した。この技術は、データセンターからエンドクライアントにアプリケーションを配布する機能を改善するというもの。
IBM、Dell、NECおよびシンクライアント専業ベンダーのWyseも、一元管理モデルの改良に向けた計画を進めている。こういった変化の中心となっているのが仮想化技術である。これは、1台のサーバ上で複数の仮想デスクトップイメージを動作させ、各ユーザーのイメージとアプリケーションが互いに隔離された状態に維持することを可能にする技術である。
HPやIBMなどのベンダーは、この種のコンピューティングモデルに必要な仮想環境をVMwareから提供してもらっている。これに対してVMwareでは、企業が一元的環境をコントロールするのに必要な管理ツールの開発に力を入れている。同社は1月、アプリケーション仮想化技術を専門とする株式非公開企業のThinstallを買収した。
またVMwareは、自社の「ACE」製品を通じて個別デスクトップとノートPCの仮想化の分野にも注力する考えだ。調査会社のGartnerが昨年リリースした報告書によると、仮想マシンの数は2008年までに400万個に達する見込みであり、クライアントの仮想化分野は従来のサーバの仮想化分野よりも大きな成長の可能性を秘めているとしている。
こういった仮想化された一元的モデルは、企業におけるコンピューティングの将来の姿であると考えるアナリストがいる一方で、ベンダー各社は企業に対してインフラを根本的に変革するよう促すだけでなく、企業の従業員に対しては従来のデスクトップで享受していたコントロールの一部を放棄するのを納得させる必要があると指摘する声もある。
Virtual Desktop Managerは、VMwareのVDIにバンドルされている。10個の仮想デスクトップに対応した「VMware VDI Starter Edition」の価格は1500ドルから。100個の仮想デスクトップをサポートする「VMware VDI Bundle 100 Pack」は1万5000ドルからとなっている。
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