スマートフォンに関する2008年の予測 前編Symbian副社長が斬る!(1/3 ページ)

スマートフォン向けOS大手の英Symbianの調査担当副社長のデビッド・ウッド氏が、スマートフォンに関する2008年の20のトピックスを占う。今回はスマートフォンとサービスがテーマだ。

» 2008年02月09日 05時30分 公開
[David Wood,Executive Vice President,Symbian]

 2008年は、スマートフォンに関するどんなニュースが、世間の関心を呼ぶでしょうか。私が予想する20のトピックスをご紹介します。今回はスマートフォンとサービスに関する10のトピックスです。

 ここでいう「スマートフォン」は、ユーザーセグメントやマーケットに合わせたカスタマイズができ、コンフィギュレーション可能なモジュールにて構成されている汎用OSを搭載している携帯電話です。汎用OSとは、サードパーティサプライヤー向けのSDK(ソフトウェア開発キット)が含まれます。スマートフォンの(端末)メーカーは、サードパーティサプライヤーのエコシステムからソフトウェアを活用することができます。

 スマートフォンは、優れた汎用OSと力強いサードパーティエコシステムの恩恵を得ています。

高性能な携帯電話

省電力で長時間使用可能なこと

高速データ通信向けに最適化されていること

ハイパフォーマンス

マルチタスク対応

堅牢でセキュア

多種多様な機能

個人のライフスタイル豊かにするエンタテインメント機能の充実(優れたWebブラウジング、音楽、ビデオ、テレビ、ゲーム、コンテンツの共有など)

高機能なエンタープライズソリューション(電子メール、PIM、途切れないVoIP、ビジネス用のアプリケーション)


スマートフォンに求められるもの

1.スマートフォンに関するニュースが、ほかのコンピュータ業界ニュースに取って代わる

 最近まで、スマートフォンは主流メディアにおいては、比較的ニッチな分野における関心事でしかありませんでした。スマートフォンプラットフォームに関する話題は、非常につまらないものとされていたのです。しかし、その傾向は変わりつつあります。

  • メジャーな新プレーヤーがスマートフォン市場に参入してきており、そのまま定着する傾向にある
  • スマートフォンの商業的成功への期待は、熱狂的に高まっている
  • 成功しているスマートフォンメーカーは、疑いの余地なく、この市場ですでに多額の利益を上げている
  • スマートフォンの売り上げは、携帯電話全体の売り上げの10%程度を占めるに過ぎないものの、おそらく、その売り上げからは30%程度の利益を生み出しており、データ収入についてはさらに高利益となっている
  • スマートフォンは、デスクトップやラップトップコンピュータより急速な技術進展をみせている――というのは、賢くハングリー精神に溢れたやる気のある企業が、市場において確固たる地歩を固めるために、多大の投資を行っているからである
  • スマートフォンプラットフォームおよび携帯電話OSは、魅力あるものになった

 こうしたことから、既存のコンピュータについてのニュース目にすることはだんだんと少なくなり、一方で、本当に面白いスマートフォン製品やSymbian OSについて見聞きすることが、今後ますます増えてくるでしょう。

2.スマートフォンのOS環境に関する技術革新が加速

 スマートフォンOS環境に関する技術革新のペースは、広くは評価されていませんが、今まさに加速しようとしています。「S60」や「UIQ」といったSymbian OSのプラットフォームに関する技術の進歩は、過去数年において比較的穏やかでした。そして私がそのようにいう理由は、Symbian OSのバージョン9(v.9)が、2006年上期に従来のバージョンとは全く異なったプログラムを採用したからです。

  • マルウェア(不正ソフトウェア)や詐欺行為を防ぐための、根本的に新しいセキュリティモデル
  • リアルタイムサービスをサポートする新しいマルチスレッドカーネル
  • より高速での処理および次世代ツールをサポートするバイナリ実行ファイルの新フォーマット

 同時に、S60とUIQの両方がSymbian OS v9のプラットフォームバージョンにおいて、本質的に新しい設計上の特徴を採用することになりました。こうしたプログラム上の相違の結果、プラグインソフトやアドオンソフトメーカーにとっては、かなり対応方法が定まらない期間が続くことにはなりました。現在では、こうした相違は、過去のものとして消えつつあります。

 Symbian OS、S60およびUIQはすべて、その安定性と成熟度において、新しい水準に到達しました。これは、エコシステム内での技術革新が花開くためにまさに必要なものでした。これが意味することは、今後、Symbian OS搭載携帯電話に新機能がますます急速に登場してくるということであり、記者たちが報道する話題も非常に多くなると期待しています。

3.ブラウザレスWebサービスアプリケーションの台頭

 スマートフォンにおいて登場してきている高性能のモバイルwebブラウザに関して、2007年には多くの報道がなされました。より多くの人々がこうしたWebブラウザの持つ能力と有用性に気づいている中、それは重要なニュースではありました。

 しかし、2008年には異なった種類のWebアプリケーションについて、より多くの報道がなされることになるでしょう。「ブラウザレスWebアプリケーション(ブラウザを介さないWebアプリケーション)」について耳にすることが非常に多くなるはずです。これらのアプリケーションは、次のような特徴を持っています。

  • Webサーバに接続するものの、携帯電話画面上に結果を表示するためにWebブラウザを使用しない
  • その代わりに実用性の問題はあるものの、アプリケーション独自のユーザーインタフェース(UI)を提供する
  • 編集したデータについて独自のローカルコピーを作成することで、データ転送量を削減し、ユーザー経験を向上する(特にネットワーク接続が弱い、または断続的である場合)
  • 必要であればWebサーバに接続し、ネットワーク上にデータを転送する
  • Webブラウザ内で実行しているアプレットに接続機能を持たせ、より高性能のスマートフォン機能を頻繁に利用する

 これらのアプリケーションの使用事例は、Symbian Google Maps のネイティブアプリケーションやShoZuの写真アップロードアプリケーション、MobiMateの携帯トラベルソフトなど多数存在します。

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