インタビュー
» 2008年02月27日 02時22分 UPDATE

仮想化技術を利用するCitrixとVMwareの相違点

Citrixが発表した新たなブランド戦略からは、仮想化技術もビジネス上のすべての問題を解決する一手段に過ぎないというメッセージが見て取れる。VMwareとの決定的な違いについてCitrixのフィル・モンゴメリー氏に聞いた。

[西尾泰三,ITmedia]

 Citrix Systemsは2月中旬、サーバ仮想化関連製品を含む同社製品の新たなブランド戦略を発表した。ここでは、「XenServer」「XenDesktop」「XenApp」(旧Citrix Presentation Server)そして「NetScaler」の4製品を中核とする統合ブランドとして「Citrix Delivery Center」を発表している。

 アプリケーションの仮想化を支えるバックエンドとなるデータセンター。この部分を質的に変革させるためのポートフォリオを手にした同社の戦略について、Citrix Systemsで、XenServerのプロダクトマーケティングを手掛けるフィル・モンゴメリー氏に聞いた。

フィル・モンゴメリー フィル・モンゴメリーシニアディレクター

―― まず、今月発表されたXenServer 4.1の特徴を。バージョン4.0からどう変化したのか。

モンゴメリー XenAppに対応できるよう、XenServerを最適化したほか、製品全体について使い勝手がよくなっている。そのほかに重要な点としては、「ストレージデリバリーサービス」のほか、これがサーバOEMとしても提供される点だ。

 ストレージデリバリーサービスにより、XenCenterの管理コンソールから、シンプロビジョニング、クローニング、レプリケーション、バックアップ、リカバリなどが行えるようになる。これにより、より動的なプロビジョニングが可能となる。NetApp Data ONTAPのサポートを皮切りに、サポートを拡大していく予定だ。

 サーバOEMは、Xenのコードをハードウェアのファームに組み込む形で提供される。このOEM先の1社がデルとなる。

 もう1つ。「Citrix XenServer Platinum Edition」についても触れておきたい。XenServer 4.1の後に提供予定のPlatinum Editionは、データセンターをデリバリーセンターに変革させるための非常に戦略的な製品となっている。最初の段階ではXenServerに「Citrix Provisioning Server」によるプロビジョニングの機能を統合した形で提供する予定で、物理/仮想を問わず、ダイナミックな管理が可能となる。では、Platinum Editionが単にCitrix製品群をバンドルしたものかといえばそれは違う。Citrix製品群は、単体でも有効に機能するが、Platinum Editionではそれらが真に統合された製品となっていく。

―― 先ほど話題に挙がったデルはVMware ESX Server 3iを自社サーバに組み込む形で出荷することも表明している。2つの仮想化ソリューションの違いは?

モンゴメリー 注意すべきは、単にサーバの仮想化という点で論じてはならない、ということだ。VMwareはサーバの仮想化だけに特化しているのに対し、Citrixはビジネス上のすべての問題を解決するために仮想化の技術を用いている点でそもそもの視点が大きく異なる。

―― その視点の違いを象徴するのが、XenServer 4.1と併せて発表した管理作業の自動化ツール「Workflow Studio」ということか。

モンゴメリー Workflow StudioはMicrosoftのワークフロー基盤「Windows Workflow Foundation」に基づいた製品だ。Xencenterがサーバ仮想化のマネジメントコンソールであるのに対し、Workflow StudioはすべてのCitrix製品を連携させることを目的としており、これにより自律的な運用を可能にしていく。

 例えば、アプリケーションのレスポンスタイムなどを監視し、Citrix Provisioning Serverとの連携によりその状況を改善するためのプロビジョニングを行う。また、必要であれば新たな仮想マシンを作成したり、NetScalerのロードバランサなどを調整するなどの一連の動作を自律的に行えるようにするのがWorkflow Studioだ。

 くり返すが、これらすべての製品をそろえないとアプリケーションデリバリーが実現できないということではない。Microsoft WORD/EXCELとMicrosoft Office Suiteの関係に近い。

tn_fig2.jpg 「Citrix Delivery Center」を構成するCitrix製品群

―― 米VMwareのマーケティング担当副社長であるカーシィック・ラウ氏は、「Microsoftは、まだ単にサーバをパーティショニングしているにすぎない」と話し、自社のハイパーバイザの技術的優位性を強調している。これについてはどう思うか。

モンゴメリー ハイパーバイザは重要だが、真に重要なのはハイパーバイザではなく、それに追加される付加価値であると考える。先ほども話したが、VMwareはサーバの仮想化だけに特化している企業だが、サーバの仮想化だけではビジネス上の問題を解決できないとわれわれは考えている。ガートナーの調査では、昨年、仮想サーバが全サーバにしめる割合はわずか6%だった。これが意味しているのは、ユーザーがサーバの仮想化にある種懐疑的になっているからではないだろうか。

 違う市場で説明すると理解しやすいかもしれない。ゲーム業界ではプレイステーションがかつて独占的な存在だったが、Wiiの登場により市場は激変した。任天堂はゲームの世界に優れた使い勝手とすばらしいユーザー体験をもたらし、それまでゲームに興味を持たなかった層の取り込みにまで成功した。

 VMwareが素晴らしい仮想化技術を持っていることは間違いない。だが、われわれは、仮想化技術をサーバの統合に用いるのではなく、物理サーバを含めたデータセンター全体をワークロードに基づいて自律的かつ動的にプロビジョニングし、それらをエンドユーザーへ配信(デリバリー)できるようにすることを目指している。しかも、われわれが注力するミッドマーケットの支持を得られるよう、その運用はより容易に、価格はより安価に、だ。

 さらに、われわれは2008年1月、サーバ仮想化でMicrosoftとの提携を発表した。XenAppとTerminal Serviceの関係と同様、XenServerとHyper-Vは、Hyper-Vが持たない付加価値を加えることで共存共栄すると考える。その好例がプロビジョニング機能だ。長期的には、仮想化市場はVMware対Microsoft&Citrixという構図になってくるだろう。

―― ここ数年、JBOSS、MySQL、そしてCitrixが買収したXenSourceを筆頭に、オープンソースソフトウェアを扱う企業が相次いで買収された。その中には、買収後に停滞してしまっているようなケースも見られるが、Citrixにおいて、XenSourceは同じような状況にはなっていないか?

モンゴメリー XenSourceに限らず、われわれが買収した企業の主要な人物は今も変わらずCitrixにいる。XenSourceについていえば、ピーター・レバイン、イアン・プラット、サイモン・クロスビーたちだ。こういった買収を成功に導く要因は、創業者から権限を奪うのではなく、彼らの意志をドライブさせるようにさまざまなものを与えることにあるのではないだろうか。

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