スマートフォンでワイヤレス化を推進したい――シンエイの取り組み日本企業のためのスマートフォン導入術(1/3 ページ)

婦人靴製造・販売大手のシンエイは、店舗業務システムの中核としてスマートフォンを導入した。本社と現場間の連絡強化やシステムのコスト削減を図っている。

» 2008年03月05日 08時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 「RIZ」ブランドなどの婦人靴の製造・販売を手掛けるシンエイは、店舗業務の中核システムとして2007年8月にウィルコムのスマートフォン「W-ZERO3」を導入した。導入の狙いは、現場と本社間の連絡の強化と業務効率の改善、システムの簡素化によるコスト削減である。

 同社では、従来から店舗の在庫管理や売り上げ報告にWindows CEベースのハンディターミナル、通話連絡にPHSの音声端末を利用していた。1日の業務データを業務時間終了後にハンディターミナルと音声端末をケーブルで接続し、本社へ送信していた。スマートフォン導入のきっかけは、ハンディターミナルのリプレースによるものだという。

店頭システムのスマートフォン化を担当した加藤ゼネラルマネジャー

 システムの更新に際して重視したのは、なるべくシンプルなシステム構成で導入の狙いを実現できることだった。経営企画部システム開発グループの加藤義則ゼネラルマネジャーは、「PC導入も検討したが、起動に時間がかかる。営業時間終了後にすぐに退出しなければならない店舗が多く、短時間で1日のデータを処理でき、以前から考えていた現場との連絡を密にできるシステムを探していた」と話す。

 また、音声端末とハンディターミナルを接続する際にケーブルの接続部分が頻繁に破損するという課題も抱えていた。「修理費や機器購入費だけでも年間のコスト負担は大きく、一緒に改善を図りたかった」(加藤氏)。そのタイミングで出会ったのがスマートフォンだったという。

導入前の課題と目的

  • 旧システムは店舗から本社へのデータ送信が主体
  • 音声端末+ハンディターミナルの構成による故障の多さ
  • 限られた業務時間内でのデータ処理の効率化

誰のためのスマートフォンか

 スマートフォン導入で加藤氏が重視したのは、現場スタッフが新しいシステムをスムーズに利用できること、そして、現場から寄せられた機能改善などの声をできる限り反映させることにあった。

 婦人靴を取り扱うため、現場スタッフは年齢層の幅広い女性が数多く在籍している。「携帯電話に似た小さな筐体なら女性でも扱いやすい。商品の画像などを来店客に見せる場合もあり、業務データが見やすい大きな画面であることも条件になった」(加藤氏)

 当初は、初代のW-ZERO3(W003SH)を導入し、2007年6月に発売された「Advanced/W-ZERO3[es]」も導入した。現在では全国の約150カ所の店舗にスマートフォンを配備している。

 業務アプリケーションは、ハンディターミナル用のものをWindows Mobile OS環境への移行に合わせて新たに開発した。従来のノウハウを活用できるため、開発を容易に行え、加藤氏が検討してさまざまな機能も実装できたという。

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