インタビュー
» 2008年03月05日 00時00分 UPDATE

Focus on People:Mozilla Labsのトップが語る次世代ブラウザの姿 (1/2)

「ユーザー体験」「Webプラットフォームの拡張」――この2つのテーマに注力するMozilla Labs。Mozilla Labsのクリストファー・ビアード氏とamachangがMozilla Labsが見据える新時代のブラウザについて言葉を交わした。

[西尾泰三,ITmedia]

 先週開催されたオープンソースカンファレンス 2008に参加するため、Mozilla CorporationのバイスプレジデントでありMozilla Labsゼネラルマネジャーであるクリストファー・ビアード氏が来日した。いてもたってもいられなくなり、サイボウズ・ラボのamachangとともに同氏を訪れた。ビアード氏の口から飛び出したのは、Mozilla Labsが見据える新時代のブラウザの話だった。

amachangがやってきました amachangとビアード氏。amachangについてはamachangが自身を語ったこちらの記事が詳しい

注目すべきはPrismとWeave

―― Mozilla Labsはどの程度の規模で、どういった活動を行っているのでしょうか。

ビアード Mozilla Labsは、比較的近い将来――Fiefox3のような――の話と遠い将来の話、その中間点くらいにフォーカスした活動を行っています。人材についてはフルタイムの人材が5人在籍しており、ほぼ全員がエンジニアです。

 今わたしたちが注力しているものにはテーマのようなものが2つ存在します。1つは「ユーザー体験」に関わるもの、そしてもう1つが「どのようにWebのプラットフォームを拡張していくか」です。

 ユーザー体験をどう向上させるかについて、Labs内で話しているのは、「デスクトップ」「ブラウザ」「Web」の境界線をあいまいにしていくにはどうすればいいのか、という点で、それが具現化したものの1つがPrismを使ったデスクトップのインテグレーションであるといえます。Webコンテンツの能力を拡張して、デスクトップのケイパビリティ(機能)の中に含めていこうとするものがPrismですが、Prismは新しいプラットフォームや製品ではなく、あくまでもWebの機能を拡張していこうとするものです。

 Prismにおける成功とはつまり、Prismが存在しなくなった状態であるといえます。Prismで提供される特徴や機能が、将来的にはどこかのタイミングですべてのブラウザに融合するのではないかと思ったりもします。

WeaveがGoogle Browser Syncと決定的に異なる点

ビアード もう1つの方向性として先ほどお話しした「どのようにWebのプラットフォームを拡張していくか」ですが、その試みの1つがWeaveとなります。

 Weaveは、ブラウザのデータ、つまり、ブックマークや閲覧履歴、カスタマイズ情報などをクラウドの中に入れてしまうもので、すでに基本的な機能――例えばバックアップとリストア、プロファイルの同期など――を提供しています。

 Weaveが革新的なのは、ユーザーのメタデータをオープンにしようとしていることです。当然そこにはソーシャルな機能もポテンシャルとしては有することになります。

amachang 基本的な機能はGoogle Browser Syncでも提供されていますが、Google Browser Syncと比べてどう違うのでしょう?

ビアード 2つあります。Google Browser Syncはプロダクトであり、Weaveはプラットフォームであるということ。データの同期などはプラットフォーム側で提供されるべきだと考えています。

 もう1つ、これがプロダクトとプラットフォームを分ける大きな違いだと思いますが、サービスのAPIを開示することで、自分のデータをすべてもしくは任意の一部を、ほかのユーザーに権限委譲できる点です。

 Weave 0.1では、Google Browser Syncとほぼ同様の機能が提供されていますが、今月末にリリース予定のバージョン0.2で、OAuthをベースとしたサードパーティ向けのAPI機能が追加される予定で、さらにバージョン0.3では、XMPPベースのメッセージングが追加されることになります。これはクールだと思っているのですが、XMPPをメッセージングレイヤとして追加しているので、ブラウザとユーザーデータとサイトをノードとしてお互いにコミュニケーションできるようになります。

amachang 企業内などで、誰かがブックマークを追加したら、すべての従業員のブックマークが更新されるといったこともできたりするのでしょうか。

ビアード あるブックマークフォルダに適切な権限設定を行いさえすれば、そうしたことも可能でしょう。フォルダやブックマークを“友達”と共有するだけでなく、“Webサービス”を共有相手にしてもいいのです。

amachang おぉー、すごい面白いですね。それってつまり、「ブックマーク共有部」みたいなWebサービスが簡単に作れてしまうということですね。

ビアード そういうことです。ほかにも、閲覧履歴を提供することで、検索エンジンが返す検索結果を改善させるようなサービスも考えられるでしょう。メッセージングの機能をプラットフォームのAPIとして提供できれば、いろいろと面白いことができるのだと思います。今までは自分個人でしか利用できなかった情報が、ほかのサービスからさまざまな目的で利用できるようになるのですから。

 ここで、わたしたちが何に注意しているかといえば、Weaveはユーザーを主眼に置いたものなので、Mozillaとしてそのデータにアクセスすることは避けたいのです。だからこそWeaveのデータは暗号化されているわけですし、Mozillaとしてそのデータにアクセスしようとする意図はまったくないことはやはり語っておかなければならないでしょう。わたしたちはデータの中身を見たくはないのです。

amachang Weaveはブラウザに取り込まれることで真に価値あるものになると思うのですが、Firefox 3の新しいブックマーク/履歴管理システム「Places」と併せて実装してしまえばよかったのでは?

ビアード これは主にFirefox側の都合なのですが、同期に関する部分でスケジュール通りに進まない部分があったため、そのまま立ち消えにするよりは、継続性を持たせたプロジェクトとして分けた方がよいと判断されました。もちろんどこかのタイミングで、Weaveエクステンションがバンドルされた形で提供されたり、さらには統合される可能性もあるでしょう。

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