物流・営業・受発注の3業務でカイゼンを推進:ハンディターミナルを活用し商品管理と物流システムを効率化

高知市に本社を置く旭食品株式会社は、四国地方を中心として全国にネットワークを持つ大手食品卸売業者。同社は、物流、営業、受発注という3つの分野でカシオのハンディターミナル製品を採用した。さらに現在では、ハンディターミナルを入口とした情報管理を強化していこうとしている。


あらゆる物流現場に不足なく支給できる端末を

photo 旭食品 四国総合流通センター

 1923(大正12)年に創業した食料品卸問屋をルーツとし、1956(昭和31)年に設立された旭食品株式会社。同社は加工食品や冷凍食品、酒類など多種多様な商品を扱う食品卸として、四国から中国、九州、近畿、さらに中京および関東へと商圏を拡大してきた。2003年には創業80周年を迎え、2004年からは中期経営計画「プロジェクトRISSI」(Regional Impressive Initiative、「立志」)に取り組んでいる。

 食品卸売業では、多数の商品を効率的に流通させていくことが重要だ。そのためには、迅速な荷捌きを可能にする物流センターなどのインフラと同時に、情報システム面での支援も欠かせない。つまり、モノと情報の流れのシステム化である。

 そのため、旭食品では2000年8月に、高知市周辺の5カ所に分散していた物流拠点を統合する形で四国総合流通センターを開設した。鉄筋4階建で延べ床面積11,849坪という巨大なセンターは、高知県内の物流拠点の機能を果たすのみならず、四国各県に2拠点ずつ置かれた支店を統括し、四国全域に同社が展開する物流網の全体をも管理している。センターの3階は、「ARDC」(Asahi Regional Distribution Center)と呼ばれ、特定商品や回転が比較的緩やかな商品などを四国全域へ小分けする機能と、多頻度配送の広域物流機能を担っている。センターの1階には、高知県内広域エリアを対象とした地域物流拠点の機能を果たす高知FDC(Front Distribution Center)が設置されている。

photo 旭食品 管理本部 情報管理部 部長 竹内恒夫氏

 商品流通においては、古くから標準規格によるバーコード(商品ごとのJANコードや外箱ごとのITFコード)が広く使われてきた。旭食品においてもその管理のためのコンピュータシステムを比較的早い段階から導入し、物流管理・物流拠点・営業現場などでバーコードを読み取ってコンピュータに入力、入出庫や受発注の管理に役立ててきた。その現場においてハンディターミナルが活用されている。

 管理本部 情報管理部 部長の竹内恒夫氏は、「当社では、大きく分けて物流、営業、そして小売店との受発注と、3つの分野でハンディターミナルを使っています」と説明する。

 では、各分野での活用状況と、その変遷を辿ってみよう。


無線LANや携帯型プリンタの活用で現場を離れず作業できる「物流パソコン」

 まず、物流すなわち入出庫系の管理では、社内で「物流パソコン」と呼ばれるシステムが使われている。基幹系のホストコンピュータと連携し、入出荷の検品管理を高い精度で実現しようと、1995年に構築されたのが最初だという。

photo 検品業務の最前線で活躍するDT-950

 「当時のハンディターミナルは、物流現場で使えるものとしては機能不足で、ほとんど選択肢がありませんでした」と竹内氏は言う。赤外線で通信する端末で、入出庫の際に検品のためバーコードを読み取った後、その情報をシステムに転送するためにいったん現場を離れる必要があった。

 「その後、何度か端末の入れ替えを行ってきましたが、赤外線でなく無線LANを使って、現場を離れず入出荷情報などのやり取りができるようにしようと検討したのが、2005年頃のことでした」(竹内氏)

 そこで選ばれたのが、カシオのハンディターミナル「DT-950」だった。特に物流現場における採用事例の多さやハードな現場における耐久性、後述する小売店用発注端末での実績が決め手となった。

 「カシオのハンディターミナルは、シンプルな画面や機能性による使い勝手の良さ、そしてコストパフォーマンスに優れているのが大きな特徴ですね。1台あたりの導入コストが抑制できるということは、より多くの人員に持たせることができるのですから、現場でも出荷物量に応じて柔軟に割り当てる事が可能で、好評なのです。そして、これまでの導入実績も他のメーカーより桁違いに多く、あらゆる物流現場で使われていますから、耐久性が高く故障が少ないということが伺えるわけです」と、カシオのハンディターミナルの良さを評価している。

 検品用のDT-950は、2008年2月現在で約600台が使われている。DT-950導入と同時に構内に無線LAN網が展開され、職員たちも効率良く動けるようになった。旭食品では、四国のみならず全国の拠点でDT-950の採用を決めており、最終的には約1000台が使われることになるという。

photo 旭食品の物流入出荷検品システム

 そして、モノと情報の流れの効率化をさらに推し進めるため、旭食品では「プロジェクトRISSI」の一環として、トヨタの「カイゼン」の考えを物流に取り入れた物流カイゼンに取り組んでいる。それが、ハンディターミナルの使い方にも変化をもたらした。

 「検品システムに関しては、DT-950導入時点では従来からの物流パソコンをベースに使い続けていましたが、物流カイゼンの中で仕様を変更しています」と竹内氏は言う。

photo 腰に装着した携帯型プリンタと連携し、検品業務を効率化

 「以前は、外箱に貼る物流ラベルを予定数量に合わせて先に印刷しておき、検品して貼り付けるという流れでした。しかし、箱を探して貼り付けるのに手間がかかります。日に何万ケースという量の商品が入ってきますので、これは大変な作業でした。2007年から切り替えた新しいシステムでは、ハンディターミナルに携帯型プリンタを組み合わせて、その場でラベルを出せるようにしています。商品コードを読み取ると、無線LANでサーバと通信、その場でラベルを出力して貼り付ける、という流れになったのです」

 検品と同時に情報が流れ、そしてラベルが出力される仕組みとしたことで効率は向上し、しかも外箱のITFコードと間違いなく一致した物流ラベルを貼ることができる、というわけだ。

 「EDIも対応していますので、EDI情報から梱包単位までの確実な紐付けを実現することが課題でした。ハンディターミナルを中心としたシステムによって、それが可能になったのです。無線LANのアクセスポイント設置にはコストがかかっていますが、カシオのハンディターミナルの機能性や優れたコストパフォーマンスは、それを吸収できるくらいのメリットを出していますね」(竹内氏)


機能を向上した営業用端末で営業力強化にも期待

 旭食品において、最も古くから携帯端末を活用してきたのが営業分野だ。顧客店舗を回る営業は、店から受注した商品の情報をミスなく迅速に連絡することが求められる。電話やFAXによる連絡では、人手を介することになってミスが生じやすい。そこで、いち早く携帯端末が導入されたというわけだ。

 「営業での携帯端末の活用は、25年ほども前からです。当時は音響カプラを使っていましたね。受注した商品のコードを店頭でスキャンして、数量を入力、現地から即座にデータを転送するようにしたのです」(竹内氏)

 当然、25年の歴史の中で、音響カプラはモデムになり、モバイル通信環境の発達で、さらに通信の利便性は向上してきた。端末も何世代かの交代があった。

photo DT-5200

 そして現在では、カシオの業務用PDA「DT-5200」が導入され1年になる。

 「低価格でコンパクト、そしてPHSカードを装着できる、といった点が採用のポイントです。2007年から2008年にかけて約250台を導入し、うち200台ほどでPHSカードを装着して使う予定です。PHSを使えばその場で通信できるので、主に遠隔地の店を回る営業に持たせます」(竹内氏)

 従来の営業用端末はモノクロの小さい画面で、しかもデータ容量が小さく、バーコードリーダーも別体式だった。DT-5200になったことで、使いやすさが向上したのはもちろん、システムの機能向上の余地ができ、営業力強化に役立つ改善案が出てきている。

 「DT-5200はあり余る機能を持っています。今は、従来端末の機能をベースとしたアプリケーションで動かしていますが、以前の端末だと容量の都合で商品情報マスタを登録できなかったことから、商品名表示もできない状態です。そこで、まず2008年度中には、商品情報マスタをDT-5200上で使えるようにしたいと考えています。さらに今後は、商品情報も取り込んで表示させ、カラー画面を生かした営業活動ができるようにしたいと検討中です」と、竹内氏は今後の方向性を語った。

ほかの卸売り業者のデータも扱える小売店用の業務端末

photo DT-900

 小売店との受発注には、旭食品が得意先の店舗に配備した業務用端末が使われている。小売店では、店頭のプライスカードなどから商品バーコードを読み取り、それを転送して旭食品へ発注する。数年前、店舗へ配布する端末を切り替える際に、3社ほどの製品の中からカシオのハンディターミナル「DT-900」が選ばれ、得意先の店舗へ一斉に展開されている。

 旭食品では、業界の中でも比較的早い段階から小売店への端末配備に力を入れており、現在の配布先は全国で1,000店ほどだという。他の卸売業者でも行っているものだが、同社の取り組みはユニークだ。

 「VAN会社として子会社のパルネットを設立し、そこに受発注機能を持たせています。旭食品自体が手掛けるのではなく、別会社の事業とすることで、他の卸売業者のデータも扱うことができるのです」(竹内氏)

 電子的な受発注情報を仲介するためには、商品や在庫などの情報を持つことが不可欠だ。旭食品自体では、その立場上、他の卸売業者からデータを受け取りにくいが、別会社であれば不安感も少ないということになる。

 VAN会社としての事業を拡大するには、利用できる卸売業者の数や対応する商品数はもちろん、端末の使い勝手も重要なポイントとなる。そこで、DT-900が役立ったようだ。

 「DT-900を導入した際、端末にも商品マスタを持たせるようにし、スキャンしたバーコードを元に商品名を表示させるようにしました」(竹内氏)

 現在のところ、旭食品が受ける注文の8割ほどが機械的すなわちデータによる注文だという。残る2割は電話やFAXなど、アナログな方法だ。より効率的に受注できるよう、旭食品ではデータ注文の比率を高めていくという。

消費者の期待に応えるべく「食の安心・安全」向上に貢献したい

photo

2008年度は「プロジェクトRISSI」最終年度に相当する。旭食品にとって、中期経営計画を締めくくる重要な年度だ。この「プロジェクトRISSI」の中では、4つの戦略本部が設置されている。その1つがロジスティクスだ。DT-950を活用した「物流パソコン」システムの機能拡大には、ロジスティクス戦略本部のスタッフが主要機能を考案したという。

 「以前は我々情報システム管理部門が主体となってシステムを作っていたのに対し、ロジスティクス戦略本部の設置に伴い、現場と我々とが共同で物流精度向上に役立つシステムを作っていく体制ができました」と竹内氏は言う。

 食品の安全・安心に対する人々の関心が高まっている現在、旭食品でも消費者の期待に応えるべく、トレーサビリティの詳細化などさまざまな検討を進めている。

 「商品の情報を、今よりさらに細かなデータで管理していく方針です。鮮度などの情報も、在庫を含めてトレースできるようにしたいですね。DT-950の導入で現場とホストコンピュータとの連携が緊密になり、それが可能な」環境が整ってきました」と竹内氏は言う。

 今後、より詳細な商品の管理を目指す中で課題となるのは、コード体系だ。

 「加工食品で標準規格として使われているJANコードや、JANコードに物流識別コードが追加されたITFコードには、ロットやシリアルといった情報が含まれていません。生産時期などを知る手掛かりがコードにないのです。そのため、物流サイドでは、汎用センターで個々の商品に対する賞味期限、製造年月などの鮮度情報の紐付けができていません。しかし、今年には全社的にハンディターミナルからの鮮度情報を取り込む予定にしており、商品管理精度、品質を向上させます」(竹内氏)

 新たな時代のニーズに合わせた標準化作業は経済産業省主導で進められており、その成果として新たなEDIデータ規格も作られている。

 「当社も、2007年度から集配信サーバを構築し、流通標準BMSを使用する次世代XML-EDIに対応しました。次世代EDIでは、これまで以上に多くのデータを入れる余地が用意されており、そこにさまざまな情報を入れることができます。追加された情報を、どこまで取り込んでいけるか、端末を含めてシステムでどこまで取り込んでいけるかが、今後の課題です」(竹内氏)



提供:カシオ計算機株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2008年3月30日


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