Sun、チップ技術の研究で4400万ドルの資金を獲得

DARPAから補助金を受けるSunは、レーザーを使ってチップを接続する技術の研究プロジェクトを拡大する計画だ。

» 2008年03月25日 14時28分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 米Sun Microsystemsは米政府から4430万ドルの資金提供を受け、従来の銅線の代わりにレーザーを使ってマイクロプロセッサを接続する新技術の開発に取り組もうとしている。

 同社と米国防総省の研究部門であるDARPA(国防高等研究計画局)は3月24日、今回の資金提供に関する発表を行った。この資金は、Sunのマイクロエレクトロニクス部門と研究部門において5年以上に渡って進める研究に充てられる。

 今回の資金調達により、Sunの研究者たちはシリコンフォトニクスの分野での研究をさらに進める計画だ。“シリコンフォトニクス”とは、チップ開発の新分野で従来の銅配線の代わりに微小なレーザービームを利用してプロセッサ同士を接続するというもの。プロセッシングコアの接続に光を利用すれば、データが長距離間で従来よりもはるかに高速に移動できるため、プロセッサの帯域幅を拡大できると期待されている。

 レーザーの利用はプロセッサの発熱量と電力消費量の削減にもつながる可能性があり、これによりSun、Intel、IBMなどのメーカーはより多くのプロセッシングコアを1個のシリコンチップに搭載できるようになる。この技術は、ムーアの法則の延命につながるものとみられている。この法則は、コンピュータの処理能力は2年ごとに倍増するというもので、Intelの共同創業者のゴードン・ムーア氏が提唱した。

 数社の大手IT企業および多数の大学・研究機関がシリコンフォトニクスの研究を行っているが、同技術の商用化のめどは立っていない。

 SunとDARPAの研究者が開発中のコンセプトは「マクロチップ」と呼ばれる。これは光信号とチップ間I/O技術を組み合わせる技術で、Sunによると、これにより一連の安価な小型チップを接続し、微小レーザーを使ってこれらのチップ間で通信するという。これらの小型チップは、スーパーコンピュータのような動作をする1個のマイクロプロセッサとして機能する。

 マクロチップでは、はんだ付けによるワイヤ接続が不要になるために、従来のワイヤを用いてチップ間インターコネクトを実現するよりもコストが低くなるのに加え、帯域幅が拡大し、電力消費量は減少する。

 この方式を目指しているのはSunだけではない。

 IBMの研究者らは3月17日、プロセッシングコア間で光信号を転送するシリコンブロードバンドスイッチに関する論文を発表した。この新技術は、電子信号を光ビームに変換するシリコンモジュレータをベースとする。

 Intelもシリコンフォトニクスの開発を目指した大規模なプログラムを策定した。

 今回の資金提供を最初に報じた「New York Times」紙によると、DARPAへのSunの提案は、Intel、IBM、マサチューセッツ工科大学、Hewlett-Packardなどから出された競合提案を抑えて採用された。

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