必要なのは「認証の信頼」――VeriSignトップが語る事業戦略の今後RSA Conference 2008 Report

米VeriSignは2007年にさまざまな方向に展開していた事業を3つにまとめた。またジム・ビゾス取締役会長が日本ベリサインの会長に就くなど、日本市場での認証サービスの展開に本腰を入れ始めている。ビゾス氏にVeriSignの事業戦略やサービスについて聞いた。

» 2008年04月11日 10時30分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 米VeriSignは2007年にさまざまな方向に展開していた事業を3つにまとめた。2008年は米VeriSignのジム・ビゾス取締役会長が日本ベリサインの会長に就くなど、日本市場において、認証サービスのビジネスにより力を入れようとしているのが見て取れる。米国時間の4月9日にセキュリティイベント「RSA Conference 2008」で基調講演を務めたビゾス氏と、米VeriSignのオーセンティケーション製品担当のフラン・ロッシュ副社長に、日本におけるVeriSignの事業戦略やサービスについて聞いた。

―― 事業を「Web認証」「ID保護」「ドメイン名登録」の3つに絞った意図は?

ビゾス 事業に対する専門知識があり、各分野のリーダーであったからだ。買収した48社のサービスはばらばらだったが、それをまとめる必要もあった。Web認証およびID保護サービスの分野は今後大いに成長すると考えており、3つの事業を併せることで、認証におけるインターネットのインフラストラクチャを統合して提供できる事業体になれると考えている。VeriSignのサービスは独特だ。

image 「アジアの中でも日本の市場は一番重要」と話すビゾス氏

―― VeriSignは日本市場でどのようなビジネスを展開するのか。

ビゾス 世界で子会社があるのは日本だけ。6月には日本ベリサインに新しい社長を登用する予定だ。上場している子会社があるということは、米国以外で大きな収入が得られることを意味する。

 日本企業は、どんなデバイスからも情報にアクセスできるインフラを整備する「ユビキタスジャパン」だ。VeriSignは認証の技術を提供するが、インフラは作れない。日本が持つ独自の技術をわれわれのサービスに組み込むためにも、パートナー企業との連携を進めていく。日本市場は携帯電話などの技術面でも進歩しており、VeriSignが今後進むべき道として学ぶことも多い。VeriSignはそこで技術を提供する立場を取る。

―― VeriSignの目指す姿は。

ビゾス 今は可能性を探っている。例えば米国のホテルではクレジットカードを個人の認証に使うといったように、カード会社が信頼をユーザーやホテルに提供している。VeriSignとしては同じ事をWebサイトの認証などの分野で提供したい。将来的には1つのIDであらゆるWebサービスなどを管理できるようにするのが理想だ。

―― それを可能にする技術としてOpenIDが候補に挙がる。

ロッシュ 認証のためのパスワードやIDを数多く抱えるユーザーは多い。OpenIDの技術はあるが、セキュリティの面ではまだまだ。OpenIDを使うためにはユーザーの信頼を集める必要がある。

image 「OpenIDは重要な技術」とロッシュ氏

 市場の進化を予測するのは難しい。信頼できるOpenIDの技術をプロバイダが提供できるようになるのは2009年ごろではないかと見ている。顧客企業からは「VeriSignこそOpenIDを展開する企業だ」との意見もいただいているが、OpenIDのビジネスプランは現段階では未定だ。

―― 日本での普及の見通しは?

ビゾス OpenIDのプロモーションを進めていく予定。日本は特殊な市場であるため、技術もマーケットの要望に合った標準を規定していく。それがOpenIDになればいいと思っているが、日本企業に合う型を日本ベリサインが作っていってほしい。

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