あえて問いたい「あなたは期待されている人材か」――IT部門への期待値サバイバル方程式(1/2 ページ)

企業のIT部門は「約束された立場、権限」などが明確でないか、ほとんどないというケースが多い。ITという武器を持ちながら、思い切った力の出し方がなかなかできない。連載の第1回目として、ブレークスルーのために何が必要かを考えてみたい。

» 2008年04月18日 17時00分 公開
[増岡直二郎,ITmedia]

学ばなければ会得できないこと

 グローバルで、変化の激しいこの経営環境の中で、企業人として、特に中間管理職としてどうあるべきか。さらに、CIOへ至る道、そしてCIOそのものはどうあるべきか。極めて興味のあるテーマである。

 まず、企業人および中間管理職に対して申し上げたい重要なことの1つの例として、不断の勉強を怠るなかれ! ということである。特に企業人が困難な問題にぶち当たって閉塞感に襲われたとき、あるいは中間管理職が上司と部下の狭間で苦しむとき、そこからブレークスルーできるのは不断の勉強から得た力である。

 特に筆者がコンサルティングなどで多くの企業人や経営者に会って意見を交換する場合、もう少し勉強をしていれば悩みや問題から抜け出すことができるのにと思われる場面が少なくない。勉強とは、経営に関する洞察力・判断力・実行力・瞬発力(とっさの判断と行動)を会得するために、本を読むことはもちろん、講演会や研修会で学ぶ、他社の例を見聞する、そしてそれらを基に議論をするなどであり、それらが経験にプラスされると強力な武器になる。

 例えば、「企業は人なり」と多くの機会に言われ、人材とその教育の重要性が強調される。

 そして、人材教育のあり方がしばしば説かれる。筆者自身も、人材教育には特に力を入れてきた。しかし、果たして「企業は人」で決まるのだろうか。優れた人材がそろっていたほうが、そうでない場合よりは有利であろう。しかし、個々人の力より、組織としての力のほうが企業に与える影響は大きいのではないか。優秀な人材が集まっていても、組織としての力が発揮できなければ、個々の人材に相対的に劣る企業でありながら組織力のある企業の方に分があるのではないか。

 ITを導入する場合も、組織力のあるところへ導入すると効果を発揮するだろうが、組織力のないところへ導入しても、組織力そのものを補うことはできない。

 以上のことは、「企業は人なり」という伝聞からは気づくことはできない。学ばなければ会得できない。

勉強を実務に生かすにも、方法がある

 では、組織力とは何か。どうすれば組織力が養われるか。そこへITを効果的に導入するにはどうすべきか。それらを体得することも勉強である。勉強は発見である。

 ほかにも多くのテーマがあろう。例えば、情報過多の中での企業人としての生き甲斐論、単なる中間管理職のあり方のほかに、一時取り沙汰されたIT化による中間管理職不要論を振り返っての中間管理職のあり方、ITの経営戦略的テーマへの取り組み方、情報システム部門のあり方、SEのありかたなどなど、多くの学ぶべきテーマがある。

 しかし、学べばいいというものでもない。

 かつて筆者の知人によく読書をする経営者がいた。部下にも経営に関する読書を薦め、「勉強しろ」が口癖だった。しかし、彼は社内で浮いた存在だったし、打つ手も保守的・保身的で、創造性を欠いた。何のための勉強だったのか。読書のための読書ではなかったのか。

 勉強を実務に生かすにも、方法がある。例えば、課題を把握し、それをテーマに勉強し、その結果を検証する。この方法論自体も、ここで検討を要する1つのテーマである。

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