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» 2008年04月21日 16時30分 UPDATE

企業の印刷環境を劇的に改善させるHPの取り組み

HPはプリントソリューションの新たな枠組みを定義し、大企業および中小企業それぞれに対して、最適化された印刷環境の提供を進めていく。

[本田雅一,ITmedia]

 Hewlett-Packard(HP)は4月18日、中国・上海において、ワールドワイドで展開する新しいプリンタビジネスの枠組みについて、アジア向けに発表を行った。「Go Print 2.0」と題した同イベントではエンタープライズ向け、中小事業者向けの両方について新しい概念を定義し、より良いプリントソリューションを顧客に提案する。Print 2.0というキーワードは、具体的な技術やソリューションというよりも、新しい印刷環境においてプリンティングソリューションの枠組みを新たに作り直すという概念的な意味合いが強い。

 例えば、エンタープライズエリアにおけるPrint 2.0では、事業所内に配置されているプリンタや複合機などを再編し、ネットワークでの管理と効率的なアプリケーション共有、消耗品管理などにより、無駄なプリント出力、無駄な機器、複雑すぎるプリントシステムの再構築などを行うことで、システム全体の導入と運用に関わるコストを下げつつ、印刷待ち時間などのパフォーマンスを向上させ、さらには紙やトナーの消費を抑え、電力を下げる。

 HPでは“印刷機器のプロ”として、エンタープライズ顧客に対してアセスメントサービスを提供する。同社は全世界でナンバーワンのプリンタベンダーだが、単なる周辺機器としてのプリンタ導入・販売を超え、ワークフローを含む業務システム全体を見通したプリントソリューションを提案する企業へと脱皮しようというのだ。

 すでに3Mに対し、Print 2.0のコンセプトを基礎に印刷システムの抜本的な対策を施したシステムをワールドワイドで導入。3Mの担当者は「まだ導入初期の段階だが、以前はプリンタを必要とする社員2人に1台のプリンタが未管理のまま置かれていたが、現在はそれが14人に1台で済むようになった。300万ドル分のハードウェアコストを削減し、社内に在庫している消耗品も劇的に減っている。加えてプリンタ数が圧倒的に減っているのに対して、印刷物が手元に得られるまでの時間は短くなり、ダウンタイムも減って業務が滞ることがなくなった」と手放しで喜んだ。

 HPはこうした顧客へダイレクトに提供したソリューション事例を基に、Print 2.0ソリューションプログラムを展開する。日本でも、すでに一部エンタープライズ顧客向けにPrint 2.0を基にしたアセスメントサービスを開始しているが、これを今後拡大するとともに、日本独自のパートナープログラムを展開するという。

 そのためのハードウェア製品として今週にも、エンタープライズ向けの高速・高機能プリンタおよび複合機の新製品を日本でも発表する予定だ。

 一方、中小規模事業所向けには管理者が容易に製品、および消耗品の管理を行える、ビジネスインクジェットプリンタおよびレーザープリンタ、さらにそれぞれの複合機を投入する。特に日本ではビジネスインクジェットプリンタおよび複合機を中心に、低コストの印刷、ネットワーク管理といった機能を訴えていく。

yk0804hp01.jpg 中小規模事業所に向けた複合機やインクジェットプリンタを含むHP製品群

 特に日本ではコンシューマー向けインクジェットプリンタがオフィスでも使われ、消耗品やプリンタ本体が管理されないままであることが多い。これに対して得意の顔料黒インクを用いたシャープな文字印刷品質、ビジネス文書出力速度の速さ、それにカラー文書印刷時でも1枚5セントという低インクコスト、ネットワークを通じた管理機能、大容量給紙システムやマルチ給紙トレイ、安価な初期導入コストなどでエンドユーザーにアピールしていく。

 例えば「HP Officejet Pro L7590」は、50枚ADF付き両面対応の2400×4800dpi CCDスキャナ、自動両面印刷、FAX、モノクロ毎分35枚、カラー毎分34枚、有線LAN内蔵といったスペックを持ちながら300ドル程度の価格に収まるインクジェット複合機だ。カラーレーザー比での消耗品コストは半分になるという。両面対応スキャナで読み込んだ文書をPDF化し、USBメモリに記録する機能も備える。

 一方、「HP Officejet J6480」はモノクロ毎分31枚、カラー毎分25枚の低価格機だが、受信したFAXを印刷せず、ネットワーク経由で保存することで紙を節約できる機能や無線LANの内蔵など、より小規模なオフィスでの効率を重視した製品だ。受信したFAXは過去100枚分の受信内容を保持(電源オフ時も消えない)しており、いつでも再印刷できる新しいFAXユニットが搭載されている。

 どの製品もネットワーク印刷へ対応しているだけでなく、内蔵Webサーバによるリモート管理およびSNMPによる管理も行える。さらに中小規模事業者向けプリンタ全体を管理し、各製品の消耗品状態をチェック。必要に応じて消耗品を発注できる専用ユーティリティがあり、日本では取り扱い代理店を通じて配布される予定だという。

 このようにアセスメントサービスを起点に、プリントシステム全体のソリューション提供を主眼に置くエンタープライズ向けPrint 2.0に対して、中小規模事業者向けにはビジネス向けに最適化された高性能の小型プリンタ・複合機を用意してニーズに対応する手法でPrint 2.0を提案している。

 とはいえ、Print 2.0の主眼は何か? と言えば、やはりエンタープライズ向けの提案にこそ、その神髄があるだろう。Print 2.0は考え方であり、製品の性能はそのコンセプトを実現する道具にしかすぎない。Print 2.0を推進することは、言い換えれば「印刷を減らすこと」と同義だ。

 従来なら間違えて少し離れた共有プリンタに印刷してしまったり、印刷する必要のない伝票を印刷して社内便で回していたり、あるいは消耗品管理の不備から無駄なプリンタやトナーカートリッジを大量に保有していた企業が、ある日から効率的に印刷業務をこなすようになれば、当然、プリンタメーカーとしてのHPは収入を減らすことになる。

 これに対してHP上席副社長でグローバルエンタープライズビジネス・イメージング&プリンティンググループのブルース・ダールグレン氏は「それは文書が“アナログからデジタルへと変化している”ことを示すもので、逆らえるものではない。オフィスおけるプリントの総量はさまざまな要因により増えている。これはコンピュータとネットワークにより、コンピュータで文書を扱う量が増えているからだ。しかし、将来的にはプリントは減るだろう」と話す。

ダールグレン氏 グローバルエンタープライズビジネス・イメージング&プリンティンググループ ブルース・ダールグレン氏

「プリントが減ることは、環境面や投資効率を考えれば悪いことではない。われわれはデータストレージやネットワークを活用したソリューションサービスを持っており、環境面での対応を提案していくことができる」(ダールグレン氏)とし、今後はプリンタ事業だけでなくサーバやクライアント、ネットワーク事業などと連携しながら新しいプリンタ事業の形を提案していくと話した。

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