女性のIT起業家が極めて少ないのはなぜか?「IT業界の人々」の傾向(1/4 ページ)

ベンチャービジネスの起業件数全体では女性起業家が半数以上を占めるのに、IT分野のベンチャー企業だけで見ると、その比率は5%にも満たない。

» 2008年05月24日 00時00分 公開
[Deb Perelman,eWEEK]
eWEEK

 「BusinessWeek」誌の3月26日の特集記事は、IT業界で活躍している若い起業家たちを紹介している。いずれも30歳以下で、「世界のデジタル業界の未来を形成する可能性が高い」とみられている。45人の起業家のうち女性はわずか3人だった。

 しかしCenter for Women's Business Researchによると、起業家全体に占める女性の比率は高く、ベンチャー企業の55%が女性起業家によって立ち上げられている。米労働統計局によると、IT分野の就業者で女性が占める割合は26%以下で、ITベンチャー企業を立ち上げる起業家に占める女性の割合は5%以下だという。

 NCWIT(National Center for Women & Information Technology)が実施した起業家と性別に関する文献レビューによると、性別が起業家の成功の要因の1つであるという決定的な証拠は見つからなかった。

 しかし性別が成功に影響するとすれば、それは教育、経験、効果的なビジネスネットワークを構築する能力、資金調達力などにおける性差によるところが大きいとしている。

 人脈、指導者、ベンチャーキャピタルとのコネは、女性がITビジネスの起業に成功する可能性にどれほど影響しているのだろうか。業界関係者たちは、かなり大きく影響していると感じているようだ。

 IT分野で女性起業家の数が少ない理由を説明する理論として、これはIT分野全般での女性の参加が少ない現実を反映したものだという主張がある。

 米国の専門職全体に占める女性の比率は51%だが、IT分野の就業者数で見ればわずか26%にすぎない。米労働統計局のデータによれば、2008年のIT分野の女性就業者数は2000年から7万6000人も少ない。

 NCWITによると、Fortune 500にランクされるIT企業で女性重役がいるのはわずか13%だが、女性が目立たないという状況は重役室よりもずっと前の段階で起きている。APテスト(アドバンストプレースメントテスト――高校生が大学の単位を取得できるテスト)でコンピュータ科学を受験する生徒のうち女子の割合は15%にすぎず、APテストの全科目で女子の割合が最も低い。

 コンピュータを勉強する男子学生の数は、ドットコムバブルが崩壊して数年間にわたって大幅な減少が続いた後で持ち直し始めたが、女子学生は減少したままであることがデータで示されている。コンピュータ科学の学位を取得する女子学生の比率は、ピーク時の1984年の37%と比べ、2007年はわずか19%となっている。

 コンピュータフォレンジクスを専門とするコンサルティング会社、Notable Softwareの社長兼最高技術責任者であるレベッカ・マーキュリー氏は、コンピューティング科学の博士号レベルの女性の数がとりわけ低いと指摘し、この数字は女性の起業意識と関連していると主張する。というのも新たな会社を立ち上げるのは、ほとんどが博士号レベルの人であるからだ。

 「供給パイプの縮小が女性の起業状況に影響を及ぼしている。アイデアを持った人、補助金申請書類を書く人、企業を立ち上げるのに必要な知識を持った人の多くは博士号取得者だ」とマーキュリー氏はeWEEKの取材で述べている。

 多くの場合、女性が起業に目を向けるのは、自分のキャリアパスを確立する必要性に駆られてのことだ。伝統的な企業環境では、女性たちが思うようにキャリアパスを形成できない可能性があるからだ。

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