女性のIT起業家が極めて少ないのはなぜか?「IT業界の人々」の傾向(2/4 ページ)

» 2008年05月24日 00時00分 公開
[Deb Perelman,eWEEK]
eWEEK

 「Girls' Guide to Building a Million-Dollar Business」の著者で、中小企業向けのビデオニュースネットワーク、SBTV.comの共同創業者でもあるスーザン・ソロビック氏はeWEEKの取材で次のように語る――「企業という環境において女性にとって最大のチャレンジの1つは、伝統的なビジネスパラダイムでは女性の人生に影響する多くの微妙な違いが考慮されていないということだ。出世コースに乗ってすべてを手に入れるのか、家族の世話をするのかという選択を迫られるのだ。出世するかしないかのどちらかなのだ」

 「女性起業家は“わたしのやり方でやりたい”と言っている。彼女たちは働く時間を減らしたいのではなく、自分のキャリア人生につながる仕事をしたいのだ」と同氏は指摘する。

 この見解によれば、IT業界で働く女性が少なければ、IT関連のベンチャー企業を立ち上げる女性も少なくなることになる。

 しかしDow Jones VentureSourceによると、IT業界での起業における女性進出のレベルは4.3%で、これは同業界での女性の比率(26%)よりもずっと低い。このため、女性を起業から遠ざけている要因は、ITに対する関心の欠如のほかにもあるとみる向きも多い。

 起業の成功をめぐる幾つかの側面に注目すると、IT業界での女性就業者の比率の低さに加えて、男性と女性の経験の差が、同分野での女性起業家が非常に少ないことにつながっているようだ。

小規模ビジネスでとどまる傾向

 女性と男性が立ち上げた小規模ビジネスの間に見られる最も顕著な違いは、女性起業家のグループでは統計的に、小規模なビジネスのままでとどまる傾向があることだ。

 「女性が経営する小規模企業で年商25万ドルを超えたことがあるのは80万社以下だ。彼らは小規模でとどまり、次のレベルに到達しないという傾向がある。女性が経営するこういった小規模ビジネスは、“ちっぽけな小屋”で営まれる商売だというのがマスメディアの認識だ」とソロビック氏は指摘する。

 ソロビック氏によると、多くの女性は大きなビジネスを築きたいとか、自分の事業は大きく成長する可能性があるといったことを言うのをためらいがちだとしている。彼女たちは、自分の事業を控え目に言ったり、片手間にやっているビジネスだと言ったりする傾向が強いという。

 「自分のビジョンや夢に投資してもらうためには、それを声高にアピールすることが大切だが、彼女たちは家計の足しになる程度の小さな事業を築きたいと言っている。十分な知識に基づき、自分にどんな選択肢があるのか分かった上でそうするのであれば、何も問題はないのだが」とソロビック氏は話す。

人脈の欠如

 女性が立ち上げたベンチャー企業の資金調達と成長を支援する非営利団体Astiaのシャロン・ボスメックCEOによると、最近、女性の間で高成長企業を目指そうという意欲が高まっているが、彼女たちはさまざまな段階で苦労しており、最初に障害となるのが人脈の欠如だという。

 「女性起業家たちは、男性起業家ほど人脈を持っていないケースが多い。人脈があったとしても、それを利用する方法が異なる。男性たちは友人や同僚と一緒に事業をするのが非常に上手だ。女性も彼らのように強力なビジネスネットワークを構築する必要がある」とボスメック氏は話す。

 ボスメック氏を含む多くの人々が指摘するのは、女性にとって起業家への道が非常に険しいのは、ビジネス界のエンジェルインベスターのような“内輪のネットワーク”にアクセスできないことが背景にあるということだ。ソロビック氏によると、人脈というのはビジネス上のつながりだけではなく、一緒にうまく仕事をできると感じる個人同士のつながりだという。

 「人々は気のあった仲間と一緒にビジネスをするものだ。これは基本的に男性が支配する業界だ。男たちはその中でしっかりと人脈を築いてきたからだ。彼らは融資分野の人々とコネをつくるのにも時間をかけている。このため、外部から資金を調達する必要が生じた場合でも、誰に連絡すればいいのか既に分かっているのだ」とソロビック氏は話す。

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