女性のIT起業家が極めて少ないのはなぜか?「IT業界の人々」の傾向(3/4 ページ)

» 2008年05月24日 00時00分 公開
[Deb Perelman,eWEEK]
eWEEK

指導者の不足

 ベンチャー企業を立ち上げたいと考えている女性に専門知識を提供するカウンセラーとしての役割を果たす指導者の存在も、起業の成否を左右する要因であり、そういった指導者を見つけられない女性は大いに苦労することになる。

 「女性起業家の周りにはあまり多くの指導者がいない。IT企業を経営している女性が少ないからだ」とマーキュリー氏は指摘する。

 ガイダンスを提供してくれる指導者がいる女性起業家たちによると、指導者との関係は当初の成功につながる大きな要因だったという。成功した女性起業家たちは、後進にとって大きな励みにもなる。

 指導者不足の状況は、起業家になる女性が増えてくれば次第に改善されるだろう。

 「これまでは、IT分野で成功した先輩の女性起業家が見当たらないという状況だった。これは特に、30代や40代の人々に当てはまる。しかし20代の女性のたちは、ベンチャーキャピタルを追求するのをためらわず、自分の母親なども含め成功のモデルとなる先輩起業家も周りにたくさんいる」とボスメック氏は話す。

 IT業界に女性が少ないという現状が、女性の新規参入を阻む心理的障壁になるという悪循環が生じているという見方もある。

 「IT分野全般で女性が目立たないという状況が、IT企業を立ち上げる女性の減少傾向の原因となっている、というのがわたしの見解だ。雇用に関しても偏見があるようだ。また、わたしの会社は、男性が経営する会社よりも下に見られることもある。IT業界の人々は女性を軽く見る傾向がある」とマーキュリー氏は指摘する。

 データもこの見方を裏付けており、既に女性が経営に参画している企業では、さらに多くの女性の経営参加を促す傾向にある。

少ない女性ベンチャーキャピタリスト

 ハーバード大学で管理手法を担当していたマイラ・ハート元教授は、女性起業家に関する研究「Diana Project」の一部として2002年に発表した報告書の中で、ベンチャー企業の設立における女性の参画は10年以上にわたって過去最高を記録したが、それに比して米国のベンチャーキャピタルから彼女たちが調達した金額は不釣り合いに少なかったと指摘している。

 「この調査によると、女性がパートナーとして参画しているベンチャーキャピタル企業の場合、そのポートフォリオに女性が経営する企業が含まれる可能性がかなり高くなる。ベンチャーキャピタルへの女性の参画で力学が変化したわけだが、それをもたらしたのは女性ではない。男性たちが女性を仲間とすることに慣れたのだ」とボスメック氏は話す。

 Diana Projectでは、ベンチャーキャピタル分野への女性参加が少ないことも明らかになった。2000年の時点で、経営参画型ベンチャーキャピタリストに占める女性の割合はわずか9%であり、女性ベンチャーキャピタリストの離脱率も高かった。

 1995年にベンチャーキャピタリスト業界にいた女性の64%は、2000年に業界を去っていた。「離脱率が高いため、パートナーのレベルに到達するのに必要な経験を獲得する女性が少なく、女性起業家たちが自分を雇ってくれる“門番”(主として男性)と強いコネを持つことも少なかった」と同報告書は述べている。

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