「中堅企業を最大の顧客層に」――営業体制を強化するIBMセミナーの予算や回数を倍増

IBMで中堅企業を担当するスティーブ・ソラッゾ氏は、「今後数十年間で重要な分野になる」と話している。

» 2008年06月05日 05時00分 公開
[ITmedia]

 「IBMの全社売り上げに占める中堅企業の割合は20%程度だが、今後5年間では最も成長する分野だ」――日本IBMは6月4日、中堅企業を対象とした営業活動についての記者説明会を開催。米IBMゼネラルビジネス担当のスティーブ・ソラッゾゼネラルマネジャーは、中堅企業市場に注力する理由についてこのように話した。

ソラッゾ氏

 ソラッゾ氏は、「IBMとしては20年以上にわたり中堅企業市場へ取り組んできたが、現在の中堅企業の経営層はグローバル化を指向しつつも、IT分野に十分な投資をできないジレンマを抱えている」とし、ITシステムを統合できる実力を持ったパートナーが提供する、パッケージ化されたソリューションを求める傾向がさらに強まっていると説明した。

 同社では中堅企業市場の規模を約2530億ドルと推計し、特にソリューションニーズや新興企業からのニーズが高い成長率をみせているという。ソラッゾ氏によれば、こうした市場ニーズを受けてIBMでは製品およびサービス、案件発掘、顧客体験の広がり、パートナーの4分野で、中堅企業顧客にアプローチしているという。

 まず、製品・サービス分野ではIBMのサーバやストレージ製品を中心に構成したパッケージサービス「Express Advantage」を展開し、150種類以上のメニューをそろえる。さらに、IBMのパートナー企業が提供するソリューションサービスとして「組み込み式Express Advantage」も展開し、1350種類のメニューがある。「中堅企業に適した開発基準を設け、システムやソフトウェア、コンサルティング、マネージドサービスなど豊富な内容だ」(ソラッゾ氏)

大阪や名古屋でキャンペーンも

 中堅企業が持つIBMのイメージは、「大手企業を相手にする存在」というものが多いとソラッゾ氏。2008年度は、イメージ改善を図るために、約1億5000万ドルをかけて中堅企業向けのマーケティングを展開し、グローバルおよび地域限定の広告出稿やパートナー企業との共同プロモーションを実施する。国内では、既に大阪や名古屋で交通機関やラジオ、インターネットを利用したアピールをしている。

 さらに、中堅企業からの新規案件や相談を受け付ける窓口として、コールセンターによる「コンシェルジュ」サービスも導入した。グローバルでは中堅企業からは10万件以上の見込み案件が寄せられるようになり、このうち12%が有力案件、半数近くはパートナー企業向けの案件になった。

 ソラッゾ氏は、「日本ではコンシェルジュサービス利用企業の96%が満足している。新規企業に対しては、IBMおよびパートナー企業が密接に支援し、パートナー企業に対してもマーケティングや販売の支援を強化していく」という。

 日本IBMでも今春から中堅企業やパートナーに対する施策や営業体制を拡充した。営業部門では本社および各支社に20チームを組織し、新規顧客やパートナーを支援するWebサービス「ibm.com」を立ち上げた。日本向けのExpress Advantageでは95種類、組み込み式Express Advantageでは162種類のメニューをそろえている。

小原氏

 小原琢哉執行役員は、「パートナー研修やセミナーの回数および予算を2倍にした」と話す。人員規模や業態に応じて見込み企業をカテゴリ化して直接販売とパートナーによる営業体制のすみ分けも徹底した。

 日本IBMはパートナー支援プログラムとして、新たにデモ環境を保有し、IBM認定技術者が2人以上在籍するパートナー企業に対して「バリューパートナー向けサーバ提案支援プログラム」を開始した。同プログラムではBladeCenter製品の販売およびサーバ、ストレージ統合におけるパートナー企業の営業を支援する。具体的には、顧客企業のシステム環境を統合するためのステップや費用対効果などを日本IBMが分析し、パートナー企業経由で結果を顧客企業に提供する。

 小原氏は、「国内でも中堅市場の成長は著しく、製品・サービスからパートナー支援までを再定義して中堅企業のIT化を支援する」と話した。

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