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» 2008年06月12日 09時32分 UPDATE

ダーウィン進化論の体現:Google、クラウド環境における「Google Apps」の成功に自信

Googleの製品マネジャーであるリシ・チャンドラ氏は、将来的にクラウドがアプリケーション開発プラットフォームの主流になると考えている。

[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 ボストン発――現地で6月10日に開催された「Enterprise 2.0」のプレゼンテーションにおいて、クラウドコンピューティング分野の第一人者であるGoogleの製品マネージャーが、「今後10年間でエンタープライズアプリケーション開発はクラウド型へ発展していくだろう」と論じた。

 だが、クラウドにおける開発にはメリットが多いものの、セキュリティやプライバシー、その他諸々についての問題点も指摘されるようになっている。また、エンタープライズアプリケーションのクラウド開発分野では、これからさまざまなイノベーションが起こると考えられるが、SAP、Microsoft、Oracleといったプロバイダーの業務用アプリケーションも末永く使用され続けるはずだ。

 「Google Apps」の製品マネジャーを務めるリシ・チャンドラ氏は、クラウドコンピューティングを「データおよびコンピュータ処理能力をインターネット上で管理し、Webブラウザを介して提供する技術」と定義した上で、同技術の有用性を強く主張した。同氏によれば、Googleはユーザーがデータをいつでも使用できるようにし、さらにデータを安全に保つ点で優れた実績を上げているという。

 ユーザーとデータを密接に結びつけるには、Webに接続できない場合でも「データにオフラインでアクセスできる機能が重要になる」と語ったチャンドラ氏に、GoogleはノートPCに保管したデータを、「Google Gear」によるアクセスからどうやって保護しているのかという質問が出た。

 この質問が注目を浴びた理由は2つある。2008年4月、ワードプロセッサ、スプレッドシート、プレゼンテーションアプリケーションの3種から成る「Google Docs」に、オフラインアクセス機能が追加されたというのが1つ目の理由だ。

 さらには、チャンドラ氏の上司であるエンタープライズ部門ゼネラルマネージャー、デイブ・ジルアード氏が、AT&T球場でジャイアンツ戦を観戦している間、車から会社用ノートPCを盗まれている。

 ジルアード氏がノートPCにオフラインデータを保管していたとしたら、これを盗まれて心配にならなかったのだろうか。ちょっとした暗号解読スキルを持ったユーザーが、同氏のマシンからデータを抜き出していたずらをするかもしれないと、不安を感じなかったのだろうか。

 チャンドラ氏は以前、ジルアード氏が最も気にかけていることといえば、Macを買うかPCにするかだと述べていた。Googleのサーバの安全性は信頼しているので、クラウドに保管したデータにアクセスされる心配はないと言っていたそうだ。しかし今回のイベントでは、オフラインアクセスに対する一般的な懸念に言及し、質問自体は微妙にはぐらかした。

 チャンドラ氏は質問の意図が分からなかったか、答えを知らなかったのだろうと思われる。あるいは、公の場でジルアード氏について話したくなかったのかもしれない。eWEEKはこれから同氏にインタビューし、この件を尋ねる予定でいる。

 チャンドラ氏はそのほかに、サイロ化された個別の業務用サービスとは異なり、クラウド環境ではオープンソースwikiといったツールを利用して、コラボレーションを実現させることができると語った。同氏は「クラウドはコラボレーションに最適なプラットフォームだ」と述べたが、サイロ化された業務用製品とはMicrosoftの「Office」や「SharePoint」を指しているのだろうか。

 また、エンタープライズアプリケーションにおけるイノベーションは、インターネット上で最新アプリケーションを使いこなしている消費者のトレンドから生まれるという。コンシューマー向けの機能だったものがエンタープライズでも利用されるようになった例として、チャンドラ氏は検索やインスタントメッセージング(IM)、VoIP(Voice over IP)などを挙げた。

 しかし、こうした傾向を最も表しているのは、コンシューマーサイトの「MySpace」や「Facebook」で人気になったソーシャルネットワーキングツールが、エンタープライズ分野に進出したことだろう。一部の企業はFacebookを利用し、同僚と連絡を取り合うためのコーポレートネットワークを立ち上げている。

 コンシューマー側の最新技術がエンタープライズ側に取り入れられるプロセスは、直線的ではないこともある。例えばIBMの「Lotus Connections」は、Facebookや同種のサービスと徐々に似通ってきており、特に同社が6月10日に発表した同製品のバージョン2.0に搭載されるフレンド機能は、そうした流れを助長するものだ。

 一部の産業アナリストや否定派は、Googleが「エンタープライズ化」しないことに不満の声を上げているが、これに対しチャンドラ氏は、過去10年間の大半を消費者向けWebサービスの提供に費やしてきたGoogleが、エンタープライズ分野を開拓するのに最適なポジションにいることを強調した。

 同氏によれば、無数のユーザーに気に入られなかったサービスは廃れ、愛されたサービスだけが生き残るコンシューマー分野は、ダーウィンの進化論を体現しているという。Yahoo!およびMicrosoftを抑え、世界中のユーザーの60%が情報検索に使うと答えているGoogleの検索サービスは、「そうした戦いを生き抜いてきた」とチャンドラ氏は話している。

 Googleが、同社の検索サービスと同等の成功を成長中のGoogle Appsビジネスにもたらすことができれば、理論的に考えて大きな影響力を持つ存在になり得るだろう。

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