最近では誰もがクラウドを話題にするようになったが、MuleSourceのダン・ローゼンバーグCEOは、Googleはうわついていると批判する。
「Google」といえば「検索」だが、今日では「Google」と「クラウド」という組み合わせも頻繁に耳にするようになってきた。
毎日3000社以上の企業がGoogle Appsに登録するという状況の中、Googleはコラボレーションアプリケーションの分野でMicrosoftとIBMに対抗する新たなチャレンジャーだと一般に見なされるようになってきた。
「GoogleはGoogle Appsの普及が急速に進んでいると考えているかもしれないが、エンタープライズインフラのクラウドは捕らえどころのない動物だ」と話すのは、オープンソースのデータ連携ソフトウェアメーカー、MuleSourceのダン・ローゼンバーグCEOだ。
「エンタープライズ分野はまだクラウドに移行してはいない」とローゼンバーグ氏は指摘する。MuleSourceは昨年9月、Integration-as-a-Service(サービスとしての連携)製品を発表した。「多くの企業が、当社あるいは他社のソフトウェアを利用して外部のシステムと連携しているが、すべての企業がクラウドに移行するというアイデアが現実になるのは5年ほど先のことになるだろう」
Googleのクラウドは、Webブラウザを通じて提供されるソフトウェアとサービスで構成される。MicrosoftやIBMなどが提供する伝統的なソフトウェアパッケージとは異なり、サーバやクライアントといったソフトウェアをインストールする必要はない。
「こういったソフトウェアはGoogleなどのプロバイダーによってホストされ、インターネットに接続したデバイスからいつでもどこでも利用できる」――Googleエンタープライズ部門のデビッド・ジルアード副社長兼ゼネラルマネジャーは、5月6日にForbes.comに掲載された特集記事にそう記している。
Googleの若いエンタープライズビジネスの認知度を高めるという困難な任務に取り組むジルアード氏は、記事の冒頭でこのように述べた上で、Googleは企業ユーザーの業務を支援すべく、コラボレーションのためのクラウドモデルを採用していると読者に訴えた。
これは控え目に言ってもユートピア的な見解であり、ほかのベンダーがやろうとしていることとは異なる。しかし、自社のクラウド製品を強化し、ユーザーがあらゆるものをそのモデルに移行するのを促そうとしているベンダーもある。
Sunは5月7日、すべてのコンピューティングリソースをクラウドに移行するという「Hydrazine」構想を発表した。それに先立つ5月5日、SunはOpenSolaris OSをAmazonのElastic Compute Cloud(Amazon EC2)上で利用できるようにした。
しかしローゼンバーグ氏は、「オープンソースであろうとも、何かがホストされているというだけでは真の意味で共有のインフラにはならない」と冷めた見方をしている。
とはいえ、MuleSourceもクラウド王国の扉の鍵を持っているわけではない。ローゼンバーグ氏によると、MuleSourceのIntegration-as-a-Service製品に対する需要は存在するが、顧客はそれをベーシックな次世代型データ連携製品として扱い、データを移動するのに利用しているという。すなわち、クラウド本来の利用価値を引き出していないのである。
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