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Trend Insight:NokiaがSymbianを買収、Symbian OSをオープン化

NokiaによるSymbian買収は、Google、LiMo Foundation、Apple、RIMなどを巻き込んで携帯電話ビジネスに変化を生じさせることになるだろう。さらに、Nokiaの地位が強化されることも間違いないようだ。


SourceForge.JP Magazine

 英Symbianは、同じ名前の有名なプロプライエタリのモバイル/組み込みオペレーティングシステムを提供する企業であり、このほど創業10周年を迎えたが、11周年を迎えることはなさそうである。以前よりSymbianの大株主だったNokiaは、今日(24日)残りの全株式(52%)を約2億6400万ユーロ(およそ4億1000万ドル)で買収すると発表した。Nokiaは買収にとどまらず、Symbian OSをオープン化することも明らかにした。

 ロンドンの記者会見においてNokiaのCEO、オリペッカ・カラスブオ氏はSymbianのコードをベンダー中立の新設組織Symbian Foundationの手に委ねることを明らかにした。これは、単にオープンソース開発コミュニティーと手を携える程度の前進ではない。Nokiaのほか、AT&T、 Motorola、Samsung、Sony Ericsson、Texas Instrumentsなど、10社を超える企業が新しいオープンSymbianに出資する。

 「これは弊社のソフトウェア戦略において極めて画期的な事件です。Symbianは既にモバイル機器のオープンプラットフォームとしてほかを引き離していました。今回の買収とSymbian Foundationの発足によって、Symbianは間違いなくモバイルイノベーションにとって最高に魅力的なプラットフォームとなります。これを起爆剤に新しい魅力的なWeb対応アプリケーションの開発が進み、新しい世代の消費者を歓喜させることでしょう」

 Nokiaに近い複数の情報筋によると、コードがはじめて一般に公開されるのは2008年最後の四半期か2009年第1四半期になるようだ。すべてのSymbian OSと開発ツールは、2010年までに公開される。今回、NokiaとSymbian Foundationは、プログラムをEclipse Public License 1.0に基づいて公開することを計画している。

 このところ、Nokiaはオープンソースプロジェクトを獲得、サポートすることに非常に熱心だった。6月18日、同社はTrolltechの買収を完了した。Trolltechが開発したQtアプリケーション開発フレームワークは、現在KDE Linuxデスクトップ環境の基盤となるほどの成功を収めている。Nokiaは、同社のLinuxタブレットN8xシリーズ用のLinuxベースOS「Maemo」でQtを使うことを既に発表していた。

 QtをSymbian上に統合するために必要なツールを開発者に提供するかどうかについては、Nokiaは明言を避けた。ただし、Symbianはこれまでも複数のパームトップインタフェースの土台として利用されてきた。それらは、NokiaのS60、Sony EricssonのUIQ、NTT DoCoMoのMOAP(Mobile Oriented Applications Platform)などである。従って、KDEスタイルのインタフェースをSymbian搭載の電話機やモバイル機器に対応させるのは、比較的簡単と思われる。Nokiaは、S60をSymbian Foundationに引き渡すことも公表した。Sony EricssonとMotorolaは少なくともかなりのUIQコードを供与し、NTT DoCoMoは、詳細は不明ながら、MOAPをSymbian Foundationの活動下にオープンソース化する用意があるとみられる。

 要するに、Symbianとその主要なインタフェースは、完全にオープンソース化されたOS/開発プラットフォームとなる方向へ確実に歩み始めているのである。これは、Linux組み込みシステムにとって厄介な事態を招くおそれがある。独自のLinuxベースAndroidプラットフォームの遅れに直面しているGoogleは、Nokiaのニュースに対してこれ以上ない見事な反応を見せた。Googleのグローバルコミュニケーション担当マネジャー、シーン・カールソン氏は代理人を通じ、「オープン性はイノベーションを促進し、消費者に利益をもたらします。モバイル業界のほかの大手企業がこの方向へ進むのは非常に喜ばしいことです」と語った。

 CCS Insightのモバイル機器ソフトウェア・リサーチ・ディレクター、ジェフ・ブラバー氏は、Nokiaは守勢に回っていたため、大きな攻勢に出られる携帯電話機メーカーではなかったと考えている。というのも、Symbianは「スマートフォンOSの支配的なサプライヤに成長した」とはいえ、「さまざまな新参のライバルの挑戦を受け続けていた」からだ。

 「Androidプラットフォームによりソフトウェアのコストが削減されて“ゼロに近づきます”と宣伝する商用モデルからの挑戦を(Nokiaは)受けて」いた。また、LiMo Foundation(Linuxベースのモバイル機器用オペレーティングシステムを開発するコンソーシアム)は「その管理モデルに魅力を感じたネットワークオペレーターから強い支持を得ている。オペレーターは、このオープンソースプラットフォームの方向性に関して、SymbianとそのS60およびUIQユーザーインタフェースの場合よりも大きな影響力を行使できると考えて」いる。IDCなどのほかの調査会社も、LiMo FoundationがLinuxを武器に携帯電話ビジネスに食い込みつつあることを指摘していた。

 また、当然ながら携帯電話ビジネスの世界ではだれもAppleとiPhoneを無視することはできない。「Appleは技術面でバーの高さを引き上げた。Symbianライセンスを取得するメーカーは、iPhoneのタッチスクリーン・ユーザーインタフェース、高パフォーマンス、使いやすい開発ツールに早急に対抗する必要がある」(ブラバー氏)

 組み込みオペレーティングシステムの専門家でDeviceGuruの編集者であるリック・レアバウム氏は、この発表で最も不利になるモバイルソフトウェア企業はMicrosoftだと指摘する。「これで間違いなくMicrosoftだけが蚊帳の外になります」

 TNL.netの編集者トリスタン・ルイ氏は、『NokiaのプランでNokiaが得する3つの点』と題したブログ記事で「パートナーの関与を維持したまま、主導権を握ることを彼らに同意させることができる。他人にコードを改良させたり開発に協力する立場を取らせることで、Googleの脅威が現実のものになったとしてもそれに対抗できる」、さらにAppleよりも「オープン」に見えるようになり、それをメッセージとして訴えることができる、と指摘する。

 しかし、結局のところモバイル業界に多くの変化は訪れないだろうとルイ氏は見ている。SunとPalmは問題外であり、Linuxに関しては、まだ「歯が立つものの、おそらく市場シェアはその特異性(ほかのものよりオープンであること)が失われることから縮小に向かうだろう」と指摘する。BlackBerryの開発元RIMを買収できないため、Microsoftがモバイル機器の市場シェアを伸ばすことはない。NokiaのSymbian買収の影響に関するやり取りの中で、ルイ氏はMicrosoftがRIMを追い求めるだろうが、それがうまくいかないと「RIM/Google連合またはRIM/Nokia連合」が成立すると語った。

 現在、専門家の見解は1つの点で一致する。この動きによってNokiaの地位が強化されると。少なくとも、Google、LiMo、またはAppleが何をするにしてもNokiaのモバイル市場における足場は揺るがない。Appleが携帯電話の市場シェアを持たなかったのはそれほど前ではないし、GoogleまたはLinuxに背を向けることはどの市場であれ勝者の選択ではないのが、ここ最近の流れである。

Steven J. Vaughan-Nicholsは、PCに最適なOSがCP/M-80で、自分のコンピュータで2BSD UNIXを使うのがクールだった時代から技術と技術業界についての記事を執筆している。


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