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» 2008年07月06日 22時38分 UPDATE

Imagine Cup 2008 Report:環境問題を解決するのは中進国?

先進国は環境問題に真剣で、中進国や発展途上国はそうではない――もしあなたがそのように考えているのなら、その理解はすぐにでもあらためるべきかもしれない。Imagine Cupで環境問題にフォーカスしたソリューションが数多く提案される中、評価が高いのは、中進国や発展途上国のソリューションだった。

[西尾泰三,ITmedia]

You Win, and We all Win

 Microsoftの学生向け技術コンテスト「Imagine Cup」も3日目を迎えた。すでにチャレンジが終了した学生は、フランス観光を楽しんでいるが、こうしたイベントもImagine Cupの魅力の1つだ。プログラミングだけでなく、写真やショートフィルム部門を用意するなど、さまざまな分野で学生の可能性を引き出そうとしているが、国際交流や観光など、さまざまなイベントを合間合間に用意し、単に技術力を競うコンテストに陥らないように注意が払われている。


tnic2008fig0.jpg 楽しむ、それも大事な要素

 参加に掛かるすべての費用をMicrosoftが負担していることも記しておきたい。同コンテストへの参加で、学生が金銭的な負担を強いられることはほぼ皆無だ。国内予選の段階から、旅費宿泊費、食費などはもちろん、最近では学生支援プログラム「DreamSpark」の開始によって、Visual StudioやExpression Studioなどの開発ソフトウェアやデザインツールが無償で入手できるまでになった。学生がImagine Cupに挑戦するまでに外的な要因でそれが阻害されることはほとんどなく、勝負に専念することができるようになった。先進国と呼ばれる国々で暮らしているとこの意義の大きさをつい見失いがちで、ともすれば当たり前だと思われるかもしれないが、発展途上にある国々からすると、これほど安心できることはない。門戸は開いていても、そこにたどり着くまでの道が舗装されていなければ、結局は小さなコミュニティーに収束してしまう。


 Imagine Cupもその第1回に参加した国々は数えるほどだったが、第6回となる今回は百数十カ国から20万名以上が参加するまでに成長した。Microsoftインターナショナル担当プレジデントのジャンフィリップ・クルトワ氏はImagine Cupを「学生たちが社会に出る前に、彼らの可能性を高める触媒」と評する。学生たちには「夢を大きく持ち、情熱を追いかけて実行してほしい。そして何より楽しんでほしい」とも語りかける。数年間の歳月を掛けてそのための道を整備してきたMicrosoft、この点は評価されてしかるべきだろう。

日本と同様のソリューションを提案するスロバキア

 既報のとおり、ソフトウェアデザイン部門で第2ラウンドに進んだ12チームは、休む間もなく第2ラウンドを戦い、すでにファイナリスト6チームも決定している。名誉あるファイナリストへ進んだ6チームは、オーストラリア、中国、ハンガリー、ポルトガル、スロバキア、ブラジルだ。何をもって先進国とするかは難しいところもあるが、人間開発指数(HDI)という尺度でみれば、先進国と呼んで差しつかえないオーストラリアをのぞけば、中進国あたりに分類される国々が並んだ。「発展途上国は環境を顧みない」といった議論がなされることがある中で、真に環境を考えているのはどこなのか考えさせられる。


tnic2008fig1.jpg

 ファイナルステージに進んだ6チームのうち、ここではスロバキアに注目したい。スロバキアのソリューションは、Windows CE 6が動作するコントロールボックスをハブに、電化機器の消費電力などの情報を収集、それらの統計や分析を行い、アドバイスやパーソナライズなどを図りながら無駄な電力消費の抑制を図るというもの。そう、彼らのソリューションは日本代表であるNISLABのそれと基本的なコンセプトは同じで、Webカメラを利用した人感センサーを用いた電源のオン/オフといった点も酷似していた。


 第2ラウンドでのスロバキアのプレゼンテーションを見た限りでは、ビジネス視点もよく練られたソリューションとなっていた。日本代表であるNISLABのソリューションでは、IRを用いた機器のコントロールを提案した。これはケーブルレスなどを図れるという点で洗練されたものではあるが、逆に言えば、その前段階にある、現時点ですべての電化機器をどうコントロールするか、とい部分にうまくアドレスできていない部分もあると指摘されておかしくない。日本やタイなども同じソリューションを提案する中、スロバキアが目立って特別だというわけではない。幼児や老人、障害者だけが在宅する場合の視点や、アプリケーションの使い勝手といった面ではまだ改善の余地も多いように思える。しかし、電化機器ベンダーも巻き込んだエコシステムの構築も想定するなど、総合力の高さが評価されたのではないだろうか。

DSC_0215.jpg スロバキア代表のソリューション概要。モバイルデバイスとも連動し、人感センサーのデータからアラートをモバイルデバイスにメールで送り、そこから電源のオフなども行える

 ファイナルステージはルーブル美術館で明日開催され、すべての学生を前にプレゼンテーションを行うことになる。これらの国々のプレゼンテーションは可能な限り動画でお届けしたいと思う。楽しみながら、かつ未来を見据えたプレゼンテーションを行う彼らの姿を見ていただければと思う。

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