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周りの人はあなたの仕事をしっかり見ています戦略プロフェッショナルの心得(7)(1/3 ページ)

最終回となる第7回は、連載をお読みになって「戦略プロフェッショナル」という仕事に興味を持たれた方に、キャリアプランの考え方をご紹介します。

» 2008年09月30日 08時00分 公開
[永井孝尚,ITmedia]

 戦略の策定と実践は、成功するCRMの原点です。本連載では、ビジネスの現場で戦略を策定し、実施する場合に必要な考え方をご紹介しています。(本連載は「戦略プロフェッショナルの心得――ビジネスの現場で、理論だけの戦略が実行できない理由」からの抜粋です)

  第1回のバリュープロポジション第2回のキャズム第3回の模倣戦略から脱却第4回の価格戦略を考える際の落とし穴第5回の営業とマーケティングの考え方の違い第6回の根本原因と言い訳の見分け方に続き、最終回となる第7回は、連載をお読みになって「戦略プロフェッショナル」という仕事に興味を持たれた方に、キャリアプランの考え方をご紹介します。

 わたしたちがプロフェッショナルを目指すには、どのような心得を持つ必要があるのでしょうか。このことを考える上で有効な方法は、マーケティング用語で言うところの「ベンチマーキング」です。その分野でベストと思われる相手に学ぶことです。そこで、イチロー選手を「真のプロフェッショナル」のベンチマーキングの相手として考えてみたいと思います。

 イチロー選手はある番組に出演した際に、「自分のやり方を貫く方法」として次の4つを挙げました。

  • 自分の評価に一番厳しいのは自分自身であること
  • 結果を示すこと
  • その上で、言葉で説明できること
  • 自分の可能性を拡げるには、自分で自分を教育していくしかない

 野球とビジネスでは分野が全く異なりますが、この4つはプロフェッショナルとして求められることを網羅していると思います。

 わたしは勤務先の日本IBMで、マーケティングマネジャーの認定プロフェッショナル専門職(ICP: IBM Certified Professional)に就いています。この職位に就任するには審査で認定されることが必要ですし、認定された後も3年ごとに再審査が行われます。この際、本来必要な成果を出していないと判断されると、降格されます。

 この再認定の仕組みは、一見厳しいように思えます。しかし考えようによっては、自分を高めたい人にとっては、良い機会を与えてくれる仕組みでもあります。

 日々の仕事の成果が、会社の期待値に見合っているか自分自身で評価して、結果を示し、誰でも納得できるように客観的に説明できるように常に考え、不足をいかに補うか考えます。

 まさにイチロー選手が言うとおり、「自己評価が厳しい」上で、「結果を示すこと」「言葉で説明できること」「自分で自分を教育すること」を日々考えることが、ビジネスプロフェッショナルにとっても同様に必要なのでしょう。

 例えばわたしは、数週間から数カ月単位の仕事を終え結果が出た時点で、1つのまとまった仕事として、次の内容を記した10ページ程度の資料を作り、いつでも他人に説明できるように心掛けています。

  • 解決しようとした課題は何か
  • 課題を解くに当たって、状況はどうだったのか
  • 状況を、自分なりにどのように分析したのか
  • 分析に対して、どのような戦略・方針を考えたのか
  • 戦略・方針を実施するために、どのような対応策を講じたのか
  • 対応策は、当初の予定とおり実施したのか
  • 対応策を実施しなかったとしたら、理由は何か
  • 対応策を実施した場合、当初期待していた成果を挙げられたか
  • 結果として、当初の課題を解決できたか
  • 解決できたとすれば、何が鍵だったのか
  • 解決できなかったとすれば、どこに問題があったのか
  • 反省を、次のステップでどのように生かすのか

 実際には、仕事を終えた時点で一気にまとめて資料を作るのではなく、それぞれの段階で仕事をしながら考えを順次資料にまとめていき、次の仕事へ進めていくようにしています。組織全体から見ても、プロジェクト進捗状況が把握できるので、この資料はそのまま業務報告書として使用しています。関係者からもさまざまな意見をいただくので、そのフィードバックを受けてチューンアップします。仕事が完了し、最後に結果をレビューした時点で、この一連のストーリーがひととおり出来上がっていることになります。

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