スパムは減少傾向?クリスマスまでか

スパムは増加の一途をたどっているという一部の報道に反して、MessageLabsの最近の調査報告書は、迷惑メールの数が2008年7〜9月期に目立って減少したと指摘している。企業のゲートウェイが迷惑メールや怪しいWebサイトをブロックする割合が以前よりも高くなっていることなどが原因だ。

» 2008年10月10日 09時53分 公開
[Matt Hines,eWEEK]
eWEEK

 スパムは増加の一途をたどっているという一部の報道に反して、MessageLabsの最近の調査報告書は、迷惑メールの数が2008年7〜9月期に目立って減少したと指摘している。悪質なISPが閉鎖されたことが主な原因だという。

 「MessageLabs Intelligence」リポート(9月/2008年7〜9月期)は、同期間中に確認されたスパムの量の減少について、カリフォルニアを拠点とする悪質なISPであるIntercageが9月20日に閉鎖されたことが直接的な原因だとしている。しかし同社の研究者たちは、スパムの顕著な減少は一時的なものであり、クリスマスシーズンが近づくのにつれ、詐欺師たちは再びスパムを利用してエンドユーザーをおびき寄せようとすると予想している。

 「しかし、クライムウェアやスパムにフレンドリーなIntercageなどのISPを閉鎖に追い込むことは重要な作業である」とMessageLabsの専門家は述べている。

 メッセージングセキュリティを専門とするMessageLabsのチーフセキュリティアナリスト、マーク・サナー氏は、報告書のサマリーで「Intercageのネットワークレンジのアドレスは、ボットネットに対する命令/コントロールチャネルを運用するために利用されていた。これらのボットネットを混乱させたことで、9月末にかけてスパムの活動レベルが大幅に低下した。しかしこの減少傾向が長く続くことは期待できない。毎年、今ごろにスパムの活動レベルが増大する。クリスマスシーズンを控えて、スパマーたちの動きが活発化するからだ」と述べている。

 MessageLabsの調査グループによると、9月には未知のソースからのスパムトラフィックの全世界での比率は電子メール全体の70.1%(電子メール1.43通に1通の割合)で、8月と比べて8.1%の減少となった。2008年7〜9月期のスパムレベルは4〜6月期と比べて1.1%減少し、2007年10〜12月期とほぼ同じレベルだった。

 もう1つの好ましい傾向として、企業のゲートウェイが迷惑メールや怪しいWebサイトをブロックする割合が以前よりも高くなっていることが、MessageLabsのフィルタリング技術によって明らかになった。

 従業員が潜在的に危険なURLや、いかがわしいURL(特にポルノサイト)にアクセスするのを防止することに関して、MessageLabsでは、こういったトラフィックの大半がブロックされるのは、標準的な昼食時間(午前11時〜午後1時)だとしている。

 「アダルト系のWebコンテンツは、9月にブロックされたWebベースのコンテンツ全体の1.7%を占めた」とサナー氏は述べている。「これは、企業がWebの危険性を認識し、自社のビジネスをWebの脅威から防御しながらも、従業員の生産性を維持し、許容可能な利用ポリシーを運用するためのサービスを配備する取り組みを進めていることを示すものだ」とサナー氏は指摘する。

 メッセージベースのマルウェアの脅威の分野に関して、MessageLabsでは、同社が捕捉した感染電子メールの45%以上は新たに作成された攻撃だったと報告している。同社は9月、1日当たり平均で3660カ所の新しいマルウェア配布サイトを発見した。これは8月と比べて22.8%の増加となるもの。

 MessageLabsの推定によると、9月に新しいソースから電子メールを通じて配布されたマルウェアプログラムの全世界での比率は0.76%(131.7通に1通)で、8月と比べて0.4%の減少となった。9月に電子メールで配布されたマルウェアに悪質なサイトへのリンクが含まれていたのは約6.3%で、8月と比べると11.3%減少した。

 2008年7〜9月期のマルウェア全体のレベルは2007年7〜9月期以降で最も高くなり、2006年7〜9月期に匹敵するレベルだったとしている。

 同報告書によると、9月はフィッシャーたちの動きが活発で、8月と比べるとフィッシング攻撃の比率が0.16%増加した。

 MessageLabsの研究者らが9月に捕捉したすべての電子メールの0.35%(288.1通に1通)に、何らかのフィッシング攻撃が仕込まれていた。しかし、トロイの木馬やボットネットなどの脅威と比べると、フィッシング電子メールの数自体は29%減少し、9月に確認されたメールベースの攻撃全体の45.7%だった。

 同社のデータによると、2008年7〜9月期のフィッシング活動のレベルは2006年4〜6月期以来最低のレベルで、今年初めから減少傾向が続いている。

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