SMBとモバイルの脅威に対抗するパートナー求む――F-Secure副社長

F-Secureのオーリラ副社長は、中小企業向けのセキュリティサービスやスマートフォンのセキュリティ対策でパートナーとの協業を拡大すると表明した。

» 2008年10月20日 00時05分 公開
[國谷武史,ITmedia]
オーリラ副社長

 クラウドがセキュリティ分野でも重要になる――フィンランドのセキュリティ企業F-Secureのチャンネルビジネス担当副社長、ユハ・オーリラ氏は、マルウェア対策サービスでパートナーとの協業を広げると話す。

 同社では、主力事業としてインターネットサービスプロバイダー(ISP)向けや、大企業システム向けのセキュリティサービスを展開してきた。新たにセキュリティ担当者や予算に制限のある中小企業や、オープンプラットフォーム化の進む携帯電話に注目しているといい、これら分野での協業体制の拡大を図る方針だという。

 このほど開催した国内パートナー向けのカンファレンスでは、これらの分野で協業関係の強化を参加企業に呼びかけた。同氏は、「セキュリティに対するリソースが限られた中小企業は、高度化する脅威に対処したいという半面、運用管理の簡素化を求めている」と話し、サービス拡大にはパートナー企業の支援が不可欠だと述べた。

 同社が提供する具体的なサービスとして、100人規模までの企業向けにはWeb画面上でクライアントやネットワークのセキュリティ状態を管理できる「ビジネスセキュリティ」、300人規模までの企業向けには「クライアントセキュリティ」と「ポリシーマネージャ」の組み合わせを用意しているという。

 「いずれも“セキュリティ管理をアウトソースしたい”とったニーズに対応する。パートナー各社はわれわれの製品で顧客企業を支援でき、自社サービスの付加価値を高める目的で組み合わせることもできる」(同氏)

 同社では、パートナー企業に対して「F-Secure」ブランドの使用を強制しないという。また、パートナー向けのサポート依頼に原則として1日以内に対応し、国内では日本法人の日本エフ・セキュアが技術分野も含めた対応を取るという。

国内ではISP向けや大企業のLinux向けのセキュリティ対策サービスが中心。両分野のノウハウをSMB向けのアウトソース型サービスにも活用する考え

 サービス面では、このほど世界中のユーザーから寄せられるマルウェア情報をデータベースとして利用する「Deep Guard 2.0」を運用した。定義ファイルでの対応では間に合わない新手のマルウェア発生情報をリアルタイムにデータベース化し、対策製品がデータベースを参照することで感染からシステムを保護する。「最新の脅威はユーザーのクラウド環境で対処できるようにした」(同氏)

 Deep Guard 2.0は、すでに個人向けおよび一部の企業向け製品に実装済みで、今後も採用を広げる方針である。

 一方、携帯電話の分野では今後スマートフォン向けのセキュリティが重要視されるようになるという。「重大事件がすぐにでも起こりうる状況だ。特にiPhoneやAndroidの動向に注視している」(同氏)。iPhoneではパスコードロックが回避される問題(編注:Appleは対処済み)などを例にセキュリティの脆弱性が高いといい、ユーザーの人気も高いことから、「攻撃者に狙われやすく、いつでも標的になる可能性がある」と同氏は話す。

 モバイルセキュリティ分野の協業では、すでにNokiaやSony Ericsson、東芝と提携している。今後も端末メーカーとの関係拡大を図る方針だという。

 「パートナーとは、単に“売る”“売ってもらう”の関係ではなく、ビジネス全体を通じて積極的で長期的に関係を築いていきたいと考えている」(同氏)

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