5万円パソコンとクラウドの浅からぬ関係Weekly Memo(2/2 ページ)

» 2008年11月25日 08時52分 公開
[松岡功ITmedia]
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大手通信事業者が画策する新サービス

 先日、大手通信事業者の幹部がこんな話をしてくれた。

 「SaaSをはじめとしたクラウドサービスの一環として、企業のクライアントパソコンも一括して貸し出すサービスを考えている。その際、コストのランクに応じて品揃えするとなると、5万円パソコンや中古パソコンは打ってつけの機材となる」

 先週20日、デルが「フレキシブル・コンピューティング」というコンセプトに基づく企業向けのシンクライアント化支援サービスを発表したが、このサービスと大手通信事業者の幹部の話は、クラウド時代をにらんだサービスのあり方を思考している点で同じだ。ただ、デルのサービスは当然ながらパソコンを売るためのパソコンメーカーの発想であるのに対し、大手通信事業者の幹部の話は、まさしくパソコンを商品に持たない通信事業者の発想である。

 その通信事業者の発想が、5万円パソコンや中古パソコンがポピュラーな存在になってくることで、現実化するかもしれない。

 パソコン業界関係者に大手通信事業者の幹部の話をすると、こんなコメントが返ってきた。

 「いま企業はどこもコスト削減が最優先の経営課題であるだけに、クライアントも一括して貸し出す安価なサービスが出現すれば、受けるかもしれない。ただし、パソコンメーカーにとってはビジネスモデルの転換を迫られる厳しい状況に追い込まれるのではないか」

 先にも述べた通り、とくに5万円パソコンはもともとインターネットを用途の中心とした製品である。現状では個人向けとして注目を集めているが、クラウドサービスとシームレスにつながるような「浅からぬ関係」になるのは容易に想像できる。ただ、現状として5万円パソコンや中古パソコンに搭載されているWindows XPに対するマイクロソフトの対応など、気になる点はいくつかあるが、それらの条件が整えば、浅からぬ関係が一層進展する可能性は大いにある。

 まずは、大手通信事業者の幹部が言うようなサービスが具現化するかどうか、注目しておきたい。

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プロフィール

まつおか・いさお ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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