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» 2008年12月15日 21時14分 UPDATE

オフショアいいとこ取り:インド人起業家、日本の証券システムの厳格さと古さに勝機

証券など日本の金融向けシステムの開発ニーズに強いビジネスチャンスを見出したというインド人のタクール氏に、日本市場の見どころを聞いた。

[ITmedia]

 「日本の厳格な証券システムは世界で通用する、でも古い」

 こう話すのは、インド人起業家のアミット・タクール氏だ。2008年7月までUBS証券の日本法人など10年にわたり日本で技術者として働き、その後、東京に新会社エイエヌエス・ソルブズを立ち上げた。証券など金融向けに情報システム開発を手掛ける。証券など日本の金融向けシステムの開発ニーズに強いビジネスチャンスを見出したというタクール氏に、日本市場の見どころを聞いた。


ind.jpg UBSやJPモルガン・チェース、リーマンブラザーズなどの東京オフィスに在籍したタクール氏。その前はインドのOracleの開発センターに在籍した

 日本の証券システムの算定ルールは非常に厳格だ。ブローカー側とクライアント側の計算が1円でも違うと処理ができないようになっている。ブローカーの評価が下がる仕組みになっているため、厳しい運用環境が守られている。グローバルな投資銀行で10年以上働いてきた経験から、ロンドンやニューヨークでつくったシステムを東京では使えないが、逆は可能と考えている。

 だが、日本の証券システムはメインフレームをいまだに多用するなど、とにかく古い。これを新しい技術に刷新するニーズが必ずあると考えている。経験からいうと、適切な情報システムを構築すれば、ルーティンワークを自動化でき、人員は半分に削減できる。IT担当者は例外処理だけをやれば済むようにできる。

 例えば、日本の証券会社のブローカーシステムでは、オーダー管理、実行管理、株式取引などを実施する。東京証券取引所に発注した後で、手数料の計算結果などさまざまなレポートをクライアントに出さなくてはいけない。場合によっては15時に取引が終了して、15時半にはレポートを渡さなくてはいけない。こうした作業の一部を手で行っている現場もある。われわれはそうしたシステムの構築などが有望と考えている。

 刷新するにあたり、インドなどコストの低いオフショア開発の実施が有力視されているが、実際にはうまくいっていないことが多い。言語はもちろん、コミュニケーションを含めた文化や仕事環境が違うからだ。インドのオフショア開発ベンダーが、実際には欧米企業を主な顧客対象と考えていることも関係している。こうした状況において、インド人が運営するわれわれのような企業の存在価値が生まれてくる。わたしが日本でのビジネス経験が長く、日本型の経営スタイルや文化を熟知していることも強みといえる。

 米国発の金融危機で状況は悪いが、必要以上に悲観していない。金融システムが崩壊するようなことにはならないだろう。日本の証券会社の情報システム構築を支援していきたいと考えている。(談)

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